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第2章 20「三対一」

「あの『黒塗り』でかい割に超速いです。気をつけて…」

 今来たミルドと飛鬼にその忠告だけし、また回避に専念する。

「まだ、俺かよ…」

 黒塗りの標的は依然俺一人。しかし、その結果他の二人がフリーになるということだ。

 ミルドは巨大化した右手で、飛鬼は竜巻のような風を纏った剣で、黒塗りに攻撃しかける。

 正反対の方向から放たれる二つの衝撃に黒塗りの機体が押し潰されるような音を立てる。

 少し潰れたかというくらいで黒塗りは離脱した。

「ッチ…」

 無意識に出た舌打ち、今までの敵より格段に手強い。

「せめて、コアでもあればな」

 飛鬼の言うコアはロボットの核となる何か、それは時にコクピット、時に宝石やバッテリーに姿を変える。

「コアか…この中で逃げるの得意なのって誰ですか?」

 回避しながら他2人に大声で呼びかける。

 自分で炎を纏った剣で攻撃すれば、と考えたのだが、他二人は一瞬目を合わせてこちらを見る。

 どうやら逃走専門は俺らしい。

「わかりました。俺が囮をやりますよ…」

 あまり乗り気はしないが仕方がない。

 できるだけ怪我しないように逃げれる努力しよう…

「攻撃は任せます」

 二人に対する短く頼み、黒塗りの標的を自分一人にするため、周りをうろちょろ飛び回る。

 何分か経った頃、相手の攻撃パターンを理解することができ、楽に回避ができるようになって行った。

 しかし、その余裕タイムはそう長くは続かなかった。

 相手はまるで俺の動きを理解したかのように動き始めたのだ。

「っうぐあ」

 完全に油断していた俺に黒塗りの拳が衝突する。

「「マサキ‼︎」」

 先程から攻撃に専念していた二人からも声が上がる。

「う、うぅ」

 この戦争中、『白塗り』にはコクピットがあり、パイロットが存在していた。

『黒塗り』の動きから設定された動きしかできないものだとそう決定づけていた。

 まったくもって大誤算だ。

 巨大ロボットを作るほどの科学力を持った世界だこれくらいあって当然と思えば当然だ。

 あの黒塗りを動かしてるのは…

「AIってか?」

 人工知能の略称であるAI。

 そいつが俺の回避ルートを学習して、新たな動きを取り入れて来たということか。

「厄介すぎ…」

 剣を杖の代わりに使い、ゆっくりと立ち上がる。

 敵の標的に設定されているらしい俺の元へまた黒塗りが猛スピードで近寄ってくる。

「逃げろ‼︎」

「マサキ‼︎」

 いったいどっちがどっちの声なのかわからない程、掠れた大きな声が響いた。

 黒塗りは拳を握り、こちらにパンチを繰り出した。

 回避するほどの体力がない俺はそのまま壁に食い込んだ。

「ッガハ…」

 口から血が湧き出て来た。

 身体中の骨が折れているのか、自由が一切きかない。

「こ、りゃ…無理っ…ぽ」

 一瞬の油断でここまで追い込まれるとは…

 全身が鈍く痛む。

 痛みを叫びたくても血が喉に巻きつき、うまく声が出てこない。

 黒塗りは俺を倒したと確信したのか、ミルドと飛鬼を相手に戦闘を続けている。

「うぅ…」

 壁に食い込んだ部分に力を入れて床に落ちる。

「っぐ…」

 歯を食いしばり、落下の衝撃を耐える。

 身体のどこも動かない。

 少し眠たくなってきた…

 意識が遠い何処かへ行ってしまいそうだ…

 眠気は順調に俺の身体を支配してくる。

 起きろ…

 立ち上がれ…

 自分で自分にそう言いかける。

 少しくらい休んだって怒られやしない…

 もう休めと、自分を甘やかそうとする俺がいる。

 ダメだみんな戦ってる…

 俺だって十分やったさ、疲れたろ?

 確かに疲れはした…

 ならさっさと目を瞑っちまえ…

 ダメだよ。みんなが頑張ってるのに俺だけ止まってちゃ、魔王なんだからさ…

 自分との自問自答を終え、答えは出た。

「おれは…まだ…」

 胸元の首飾りが暖かく、光を発し始める。

「立ち上がらないといけないんだ…」

 瞬間、俺の身体の上に黒の大剣が飛んでくる。

 前にも一度見たこの光景。

 身体中の痛みが消えていく。

 軽く、身体を動かし立ち上がる。

「うおおおおお!」

 復活を遂げて雄叫びを上げた。



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