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第2章 14「城に居残り」

 地鳴りが響いてすぐ書斎を飛び出し、四人で庭園へ向かった。

「ユニア。こいつらが…」

「そうなりますね」

 そこには超巨大なロボットが立ちはだかっていた。しかも一体ではない。

「かっこいい」

 ユニア達が一斉にこちらを向いた。

 全体白塗りされたロボットはアニメの機動戦士のようだ。

 初めて見た巨大ロボットにテンションが上がり、つい口から出てしまった。

 それは少し無神経な発言だった。

「まぁとりあえずこいつらどうにかしなきゃ。ユニアどうする?」

 テニーはユニアに問いかけた。

「そうですね…とりあえずクランさんとマサキ様は城に残っててください。ここには対物性魔法陣が貼ってあります。何かしらのことがない限り落ちたらしません」

「待って!俺も城に残るの?」

「あなたはこの国の王です。外に出て死んだら一体どうするつもりですか」

「…」

 何も言い返せない。力になりたいのに、『王』という地位がそれを邪魔してくる。

「わかったよ」

 ユニアはそう言う俺を見て頷いた。

「テニーさん行きますよ」

 ユニアとテニーは庭園を出てどこかへ行ってしまった。

 悔しい。こんな時に戦えない自分が…

「マサキ様…」

 顔に出てしまったのかクランがこちらを気にかけている。

「ごめんごめん。さぁ城の中に入ろう」

 クランと共に自室へ向かった。

 別に戦いたくはない。

 死にたいわけでもない。

 殺したいわけでもない。

 ただ…みんなが苦しんでいるのに自分が同じところにいれないのが嫌なんだ。

「マサキ様…きっと大丈夫ですよ」

 クランは震えた手で俺の手を握った。

「うん」

 その手を握り返す。

 とても温かく、とても安心する。

 窓の外ではいくつもの爆発音が鳴り響いている。

 飛鬼やミルドは戦っているのだろうか?

 愚問だった。きっと戦っている。

 彼らはとても強いし恐らくミッダもいるだろう。

 心強い仲間はいっぱいいる。きっと大丈夫だ。

 そう自分の心を宥める。

 ふと窓の外を見てみた。

 そこは先程まで多くの人で賑わっていた町ではない。

『戦場』そんな言葉がぴったりの情景に変わっている。

「おえええ…」

 外には無残に生き絶えた人の死体が転がっていた。

 見た瞬間、急な吐き気に襲われた。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 心配してくれたのかクランがこちらに近づいて来る。

「はぁ…来ちゃダメだ…」

 クランに窓の外を見せてはいけない。反射的にそう言った。

 初めて死体を見た。

 自分も一回なったと思うとまた吐き気がした。

 クランは近づいて俺のことを抱きしめた。

「大丈夫です。大丈夫ですから」

「あ、ああ…」

 急に目から涙が溢れでた。

 悔しいからか、悲しいからはかわからない。

 しかし自然と出た涙を俺は止めることができなかった。

 きっと怖かったんだ。

 自分がまた死ぬのが。自分が人を殺すのが。

 もしかしたら戦えないかもしれない。

 恐怖で身体の力が抜ける。

 傷つくのも傷つけるのも嫌だ。

「一体…一体どうすればいいんだよ。俺は…」

 泣かずにはいられず女の子の腕の中で一頻り泣いた。

 クランは俺が泣いている間ずっと言葉をかけ続けてくれた。

 俺は別にアニメの主人公でも何でもない。

 ただの弱くて何にも出来ない一般人だ。

 確かに闘技会では優勝した。

 しかし、それも色んな人が助けてくれたからだし、あの大会では死ぬことはないと安心していたから闘えたんだ。

「ねぇ…クラン…」

 自分でも情けないと思うほど震えた声が出てきた。

「なんですか?」

「俺は…俺は一体…どうすればいいのかな…戦うのが怖くなっちまった…さっきまで、みんなが戦ってるなら俺も戦わないとって…そう思ってたはずなのに…」

 クランは俺の弱虫具合に呆れるだろうか…ヘタレだと罵ってくるだろうか…どっちでもいい。それらは真実なのだから。

「マサキ様は優しい人です。どんな人でも助けようとします。きっとマサキ様は剣を取って戦うことを選ぶと思いますよ?」

 クランの意外な発言にまた、目から涙が溢れ落ちていた。

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