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第2章 13「魔法と科学」

 恥ずかしかった。

 空を見上げながらそんなことを考える。

 空には雲や鳥がまるで空を泳ぐかのように進んで行く。

「いい天気だな」

 ふと、十字のような形をした生物が飛んでいることに気がついた。

 この国の生き物かな?

 ドラゴンがいるんだし、そういうのもいるんだろうな。あとでユニアに聞いてみよう。

 城につきいつもユニアが仕事やらなんやらを行なっている書斎に向かった。

「ユニアただいまー!」

 お茶を飲みながら談笑する女の子が三人いた。

「おかえりなさい」

 優しくそう言うユニア。

「あ、すみません。寝坊しました…」

 俺に悪びれるクラン。

「一緒にお茶しましょ?」

 いつのまにか馴染んでいるテニー。

 特にやることが無かったため一緒にお茶することにした。

「そうだ!さっき十字の空飛ぶ生き物見たんだけど何かわかる?」

 そう言うとお茶を口に含んでいた三人が一斉に吹き出した。

「い、一体いつそれを見たんですか?」

 ユニアは慌ててそう聞いてきた。

「ついさっきだけど?」

「それは生物なんかじゃないです」

 深刻な顔で告げられた。

 生物じゃない?

 前世界でも同じようなモノを見たことあるような…

「『魔法』が成長したのは世界でこの国のだけなんです」

「うっそ」

信じられなかった。

この世界に来てから魔法以外の技術を一切見ていないからだ。

鍛冶屋などは見たことがあったが…

「私たちが『魔法』を成長させることができたように他国にも成長したものがあります」

 俺はゴクリと唾を飲んだ。

「それは『科学』です」

『科学』聞き覚えのあるその言葉。

 前世界は科学によって発展していた。

 それによる恩恵は数知れない。

「じゃあ俺が今日見た十字形のって」

「相手の無人偵察機になりますね。私たちは『偵察蜘蛛』と呼んでいます」

「敵国ってさ…あの人たちを助けに来たのかな」

 あの人たちとは紛れもなく処刑されかけていた秘密調査兵の人たちだ。

「それはないでしょう。恐らく相手はその方々はもう死んだものだと考えていると思われるので」

「とすると」

「侵攻ですかね」

 侵攻…言葉の通り敵国が攻め込んで来ると言うことだろう。

「でもなんで侵攻なんてしてくるのさ」

 世界で唯一の技術『魔法』を持つ国を攻めてくるなんてまるで魔法をなくしたいみたいに思える。

「そりゃ邪魔なんですよ…唯一魔法が繁栄した国なんて。他の国からしたら」

 先程まで黙っていたテニーが口を開いてそう言った。

 まるでイジメみたいだ。

 まるで科学が魔法をいじめている。

 そんな風に思えた。

「ついでに敵国って何カ国ぐらいあるの?」

「そうですね…」

 ユニアが顎に手を当て考えているとクランがスッと手を挙げた。

「好戦的な国が五つと、世界一の科学国家『エレクスタル』くらいだと思います」

 合計六カ国。好戦的な国とか言っていたから他にも国はあるのだろう。

「なるほど…偵察蜘蛛が飛んで来てから大体どれくらいで攻めてくるもんなの?」

「一週間も掛かりません。もしかしたら今から攻めてくる可能性だって全然あります」

「つまりいつ攻めて来てもおかしくないってことか…」

 いつ来るかもわからないのではどうしたらいいのかわからない。

「侵攻して来るのはわかった。でもそれって何かしらの対策はあったりするの?」

「思いのほか受け入れますね。マサキ様なら『戦争なんてダメだ』とか言いそうだと思ってましたけど」

 確かに。とユニアのほか二人の女性陣は頷いた。

 考えてなかったわけじゃない。ホントは争い事なんて無いのが一番だ。しかし

「俺たちが戦いたくないって言ったも相手は来ちゃうんだろ?だったら戦わなくちゃ。だろ?」

「確かにそうですね。対策の話ですがこの国には至る所に魔法陣が貼ってあります。その魔法陣はこの国じゃない人に反応し、通達が届くようになっています」

「じゃあ相手が入ってくればわかるってことか」

 では通達が来る前に少しでも特訓しようとこの場をあとにしようとしたその時、いきなり地鳴りがした。

「え?」

 さっきまで明るかったはずの部屋は急に日光が入らなくなり暗くなっている。

「どうやら一日も待ってはくれなかったみたいですね」

 ユニアが言うその言葉から察するに敵が来たということだ。

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