第2章 10「ダンジョンのボス」
コアを斬って木の巨人の動きを止める。
やっとこのダンジョンのクリア方法がわかった。
魔力を身体に供給してるということは一番効率が良いのは胴体だろう。
先程、首を斬る際の刃拡張によって木の巨人の身体を簡単に斬れることがわかった。
「とりあえず真っ二つにしてみっか」
そう言って右手の剣を加速する。
木の巨人の目の前までたどり着き、左手の剣の刃を拡張する。
相手は不意を突かれたようで手でのガードが追いついていない。
「てりゃ!」
右肩から左腹にかけて一線。
ズズズっと斜めに上半身が落ちていく。
しかし、下半身からまた上半身が生えてきた。
「むむむ」
何回斬っても致命傷を与えることのできないことに嫌気がさした。
「マサキ様!ヘソのところです‼︎」
後ろから聞こえたその声を頼りに落下途中の通りすがりに腹を一線。
腹を斬った後、またすぐ再生されるかと思った。
しかし、木の巨人はサッと砂となり消えていった。
「ふぅ…」
地に足をつけ、呼吸を整える。
身体が怠い…
剣の炎を使うと体力を消耗する。
ユニア曰く、魔力の無い俺は炎を使うために魔力ではなく体力を使っているそうな。
「マサキ様〜!」
後ろからユニアとクランの声がした。
さっき声の位置を教えてくれた声はユニアだった。
「ユニア、なんでコアの場所がわかったの?」
「あぁ…それですか。コアは言わば魔力の集合体です。魔力探知さえできればあんなの場所を自分から教えてるようなものです」
「そうなのか。じゃあなんで俺は分からなかったんだ?」
「あぁそれなら簡単ですよ。マサキ様は魔力ないですもん。魔力なしに魔力探知ができるわけないじゃないですか」
サラッと人を傷つけたことにきっとユニアは気づいていない。
「だったら最初からいってくれれば良かったのに」
さっきの仕返しに少し嫌味っぽく言ってみた。
「それは魔力探知には時間かかるからですよ。最初はあの巨人からの攻撃で魔力探知する暇がなかったんですよ」
なら仕方ないと思い頷いた。
「で…ここからっていつになったら出れるんですかね?」
クランがそう言った。
そういえば木の巨人を倒してからもう五分は経っている。
「確かに…」
「もしかしてもう一体ボスがいたりして」
ユニアが笑って冗談半分くらいでそう言った。
そういえば後ろから地鳴りが聞こえるような
「やりおったな」
このパターンは…
オズオズと後ろを振り向いた。
そこには予想はしてたが木の巨人が歩いてきていた。
「あーあ…」
半分呆れ、半分恐怖。
この身体の重さをもってもう一体倒すのは骨が折れそうだ。