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第2章 7「まだまだこれから」

 サファラの城に着いた。

 周りの景色はもう真っ暗…

 残り時間は反日というところだろうか?

 ホプスの背中で数十分に渡って泣き続けた。

 途中から頭がぼーっとして脱水症状になるかと思った。

 目の周りが泣いたせいで痛い。

 まだ、何かあるはずだ。

 まだあの人達の命を諦めるわけにはいかない。

 それでも…

「まずいな」

「マサキ様、まだ何かするつもりですか?」

「え?」

 ユニアから出た意外な言葉に驚いた。

「だって、まだ時間はあるし…」

「貴方が助けようとしているのは敵兵です!戦場であれば殺している人間です」

 わかっていたが言葉にされると辛い。

「それでも…それでも殺させる訳にはいかない!」

「なぜそこまで?」

 なぜ?

「人を助けるのに理由はいらない…」

 前世界でよくテレビやマンガの英雄(ヒーロー)が言っていた言葉によく似ている言った後に気づいた。

「それが敵兵でもですか?」

無言で頷いた。

「そうですか…」

 ユニアは溜息を吐き出すようにそう言った。

「ならば最後までお付き合いします」

「え?ホントに?」

「はい、ホントです。さっさと何か考えましょ?時間が無いんですから」

「う、うん」

 嬉しくてまた泣いてしまいそうだ。

 ユニアと城の階段を走り下っているときにミッダに会った。

 恐らく庭園に向かう途中だろう。

 闘技会が終わった今でも庭園での特訓は継続している。

「すみませんミッダさん。今日の特訓は休ませてください」

「はぁ?てめ何言って…て、ちょっと待てや!」

「時間ないので失礼しまーす」

 ミッダの言葉の最中ながらも階段を走り続けた。

「そうだユニア、医務室に寄ろう」

「なぜです?」

「クランのこと忘れてた」

 昼間に倒れて医務室で寝かしていたクランのことを完全に忘れていた。

「クラン大丈夫?」

「もう遅いですよ?どこ行ってたんですか?」

 クランはベッドの上に腰をかけていた。

「ちょっとザクトまで」

「え?ザクトってあのザクトですか?私そんな長い時間寝てたんですか?」

「あ、いや別にそういうわけじゃ…」

「何やってるんですか?時間が無いんですからクランさんを回収してさっさと食堂にでも行きましょう」

 後ろからさっきまで黙っていたユニアが言葉を突っ込んできた。

「あ、あぁそうだね…そういうわけだクランちょっと来てくれない?」

「えぇそれは構いませんが…そちらの方は?」

「よし!じゃあ決まりだ。行こう」

 そう言ってクランの手をとり、また階段へ向かった。

 階段を下り、食堂に着いた。

 そして三人での作戦会議が始まった。

 時計はもう夜の十時を回っている。

 クランに家に帰らなくて大丈夫かと今更ながら聞いてみた。すると

「魔王様からの命令と言えば全然大丈夫ですよ」

 と笑顔で言われた。

「誤解を招くから言い方だけ変えてくれ」

「もう!さっさと始めましょう」

 ユニアにそう言われ、大筋は理解してはいるであろうクランにも念のため説明してから、軍隊長に頼らない状態でどうやって法律を変えるかどうかを話し合おうとした。

「なぁんだ…簡単なことですよ?」

 そう言うのはクランだった。

「どういうことだよクラン?」

「別に刑法を変えなくても処刑は止められます」

「ど、どうやってですか?」

「刑法ではなく法律自体を変えるんです」

「それは誰が居ればできるんだ?」

 そう言うとクランはゆっくりこちらを指差した。

「え、俺?」

「はい」

「そ、そうか」

 ユニアが急に口を開いた。

「国の法律であらば魔王がいれば変えられる?」

「その通りです。そして法律は…」

「刑法より強いってことか」

 やっと二人が言っていることに理解が追いついた。

「そういうことです」

「ユニア法律が書いてあるモノって何かある?」

「そうですね…」

「それならばここの法律部に置いてある、法書っていう本に書いてありますよ」

「あなたはなぜそんなに詳しいんですか?」

 ユニアは異常に法律に詳しいこの子を不審に思ったらしい。

「いえ…まだ何者でもないただの学生ですよ?」

「「えぇ⁉︎」」

 驚いてみたはいいが、それがどれほど凄いことなのか理解できない。

「それではさっそく法律を変えてしまいましょう」

 ユニアにそう言われ法律部へ向かった。

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