第7章 43「裏・形成逆転」
「申し訳ございません。罪人マサキを取り逃がしてしまいました」
そう言って跪くのは魔王親衛隊隊長ミッダ。
「そ、まぁ気にすることないよ。マサキはいずれ現れる。その時に殺せばいいさ、何よりミッダが無事でよかったよ」
そう言って優しく微笑むのはつい先日まで犯罪者だったガルガだ。
ガルガが昨日マサキから奪ってきたサドルカの剣であることを行った。
地面に剣を突き刺す。たったそれだけで世界が変わった。
ガルガ曰く、国全土の人間に少量の闇の力を流し込んだのだと言う。そして、闇の力で内部から人間の思考の中に俺やガルガ、ヴァンドなんかは魔王側の人間に、マサキやユニア、飛鬼なんかは犯罪者側の人間になるように弄ったらしい。
魔族とエルフ族には効果が薄いらしく、彼らは蛮族扱いして迫害の対象としていた。
よってガルガは魔王の玉座に我が物顔で座り、本来なら敵であるはずのミッダや軍の連中に指示を出している。
ミッダが謁見の間から立ち去るとガルガが玉座から立ち上がった。
「くぁ〜疲れた」
「お疲れ様です。ガルガ殿」
「さぁて、じゃあ次はマサキを捻る手段でも考えるか」
そう言うガルガに俺は言った。
「そこまでマサキを叩く必要があるのか?権力はこちら側にある。俺たちが何もしなくたって国から出るくらいしかあいつらに勝ち目は無いだろ?」
するとガルガは俺の考えは甘いと否定するように指をチッチと、振った。
「甘いよソーム。僕はまだ魔王の証たる炎の神剣を持っていないんだ。それにマサキにはアルムスの剣がある。その気になれば闇の力にも対抗できるんだよ。あと、今回の場合は外国に出られるのが一番まずい。今の俺たちの戦力でマサキが外国に助けを求めたら、ルナラナにプライア、最悪の場合ドラッドも相手にしないといけない。プラスで四本の神剣とアルムスの剣だ。勝てる未来が見えないね」
なるほどだから、国内でマサキを潰すのか。
「だが、潰すにしてもマサキ達の位置がわからないんじゃ、潰しようも無いだろ?」
「さっきも言ったろ?マサキはいずれ現れるよ」
「なぜそんな確信が持てるんだ?」
するとガルガは少し考えてから応えた。
「そうだなぁ、マサキはお人好しだからかな。ミッダ達が操られてることを知ったら、僕に挑んでくるに違いない。って思ってるからなんだけど」
確かに当然の反応だ。だが、こちらに攻め込んで来るってことはそれなりに準備が整っているということではないのか?
「そんな早く来るのか?マサキだってバカじゃない。勝機の無い戦いは挑まないだろ」
「マサキはバカだよ。相当にね。でも、勝機はあるんだろうね、だから君たちを集めたんだよ。九人の仲間を、君らがいればマサキ達だって怖く無いからね」
やっと俺たちの集められた意図を知ることが出来た。俺たちは魔王とその取り巻きの相手をするために集められた……ということか。




