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第7章 34「知らない作戦」

「お疲れ様です」

 それはバイト先の工事現場でのことだった。

「大変だぁ‼︎」

 午前中の仕事を終え、お茶で喉を潤したら自作のおにぎりでも頬ばろうと思っていた昼下がり。

「大変って何が大変なんだ?」

 大急ぎで走ってくる少年(連続殺人犯)のショートに問いかけた。

「耳貸して!」

 耳を貸せと言われ強引に引っ張られる。

 本当に取れて、貸出してしまった暁には俺は自分の耳とは永遠にさよならしないといけないわけだが、今回は痛いだけで俺の耳は未だ左右両方にくっついている。

「実は……」

「は?軍のサファラ基地に爆弾?脅迫状だと?」

 ショートに言われたことを重複する。

 軍の基地を爆破?さらには脅迫状だと?

「ソームさん何か知らないの?」

「いや、俺は何も聞いてないな……岩鬼、何か」

「聞いてない」

 食い気味にそう答えられた。

 ガルガが単独で行った?いや、爆弾ということならエヌが関与していると考える方が普通か……だが、この平日の昼下がりは学生に紛れた爆弾魔は午後の授業でも受けている時間帯ではないのか?

 ガルガが無理を言わない限り無欠席のエヌが学校を抜け出して爆弾を……考えられないな。

 しかも脅迫状だと?今までそんな話聞いたこともなかった。これは本当に俺たちサイドの犯行なのか?

「いくら考えても答えは出そうにない。ショート、悪いが今から戻ってガルガに真意を問いてきてくるないか?」

「えぇ!僕が行くの?」

「まぁそう言うなって、俺のおにぎり一個やるからさ」

 ショートや岩鬼の持ってきているおにぎりも俺が作ったものだが、何かを頼むには対価が必要、これは暗殺だろうと頼み事だろうと変わらない。

「わかったよぉ……」

「ありがとな、親方!ちょっとの間ショート抜けるんですけど!大丈夫ですか?」

 大声で弁当を急いで掻き込む頭にタオルを巻いた中太りの男に声をかける。

「彼女か⁉︎」

 お茶で弁当を流し込んだらしい親方は冷やかすようにそう言った。

「わかりません!話してくれないんです‼︎」

 俺の冗談にショートは無言で俺の後頭部を引っ叩いた。

 それを見ていた工事現場の野郎どもがドッと笑いだす。

「あぁ!いいぞ‼︎だが、彼女だったらゆくゆくは紹介しろよ‼︎」

 親方も機嫌をよくしたらしい、ショートの一時離脱を許可してくれた。

「だってさ」

 振り向き、後ろで俺と親方の会話聞いたショートは頷いた。

「速攻で戻ってきて、すぐに仕事に戻ってやる」

 そう言いながらショートは走ってアジトへ戻って行った。

 最近疑問に思うことがある。

 もし俺たちがこんな風に普通の生活を送っていたなら、今のように楽しく過ごせているのだろうか……それとも犯罪者の俺たちだからこそ、こんな何も無い日々を楽しめるのだろうか……

 仲間が出来てから、俺は……別に魔王を殺さなくてもいいような気がしているのは何故だろうか?

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