第7章 31「ニセモノの犯行」
「とりあえず、今この国にいる人たちには一旦退散してもらおう」
俺の意見にニーナもユニアもクランも飛鬼、ミッダも頷いた。
「だがな、なんて言うよ?まさか事情を洗いざらい全部……なんて言わないよな?」
ミッダにそう聞かれ、少し考え込む。
全部正直に話せるのが一番なのだが、残念ながらこちらも何が起きてるのか全くわかっていない。
しかし、過去に『影の獣』となって襲ってきた相手だ。何をしてきてもおかしくはない。それこそ前のような国民の全員をシャグルー化させることだってあるかもしれない。
そんなことになればこの国のイメージはだだ下がりだろう。せっかく上がってきたイメージだ。落としたく無いのは当然の心理だ。
「どうしたものか……」
何も思い浮かばず、ただ意味のないそんな言葉を漏らす。
「国際化した国で大きな事件を隠し通すのはとても難しいことだと思うので隠すことはあまりおすすめできませんね」
そう言うのはルナラナから来た発明家の少女ニーナ。
「そうですね。私も賛成です」
そう言うのは俺の博識な友達クラン。
「言うのは簡単だけどよ、どうするんだよ?全部話すってのか?」
少女二人に噛み付く二本のツノが眉の上辺りから生えている飛鬼。
「なら、一部隠す感じで……」
「どこ隠すんだよ、今の状態じゃ不確定な部分が多すぎる。脱獄犯が出たくらいじゃ、外国のやつらは普通に交易を続けるだろうよ」
クランの提案はもっともに聞こえる飛鬼の意見によって散った。
「うーん」
話し合いが一向に進まない。隠し通すことは不可能、何が起こるかもわからない。不安要素は考えれば考えるほど湧いてくる。
「なら、いっそのこと捏造してみます?」
その提案をしたのはユニアだった。
「捏造って一体何を?」
俺の質問にユニアはとても真剣な表情で答えた。
「犯行をですよ」
そのユニアの発言にクランは理解したらしく、ユニアの言わんとすることを先に代弁した。
「なるほど、そうすればこう言う事件があったからっていう理由を付けて外国の人たちに避難してもらえますね」
「でも犯行って言っても簡単には……」
俺の疑問にクランは嬉々として答えた。
「犯行でも予告状でも脅迫でも大丈夫です。とりあえず危険を促せればいいんですから!」
活躍の場を得たクランは水を得た魚のように元気になっていた。
「二人ともそれでいいですか?」
黙ってクランの話を聞いていた鬼と中年男性に問いかけると二人は首を縦に振った。
「なら決定だね。あとはそれに即したシナリオがあれば完璧だな」
俺のボソッと言ったのを聞いていたニーナはここぞとばかりに手を天高く上げた。
「私にいい案があるんで、そこらへん一任してもらえませんか?」
何か少しだけ不安だが、異議もないためニーナに一任した。




