第6章 20「健康的種族」
「んん……」
まだ底なしの睡眠欲に襲われながら、早くも活動を開始し俺の枕元でラジオ体操のようなことをしている飛鬼の物音で目が覚めた。
飛鬼は夜寝るのが早いだけあって、朝も早い。時刻は朝の四時、飛鬼は九時くらいに寝ていたから大体七時間くらい寝たことになる。
「おはようございます」
まだ眠り足りない目をこすりながら、布団の上で身体を起こした飛鬼に朝の挨拶を投げかける。
「おはようマサキ、随分眠そうだな」
「あはは、あまり寝付けなくて」
昨晩、飛鬼から三大禁忌魔法の話を聞いてからというもの一人であーでもないこーでもないと考え続けてしまい、眠りについたのは多分一時を過ぎた頃だった。なので俺はまだ三時間ほどしか眠っておらず、眠れるものならまだまだ寝ていたい。
「そうか、わかったぞお前枕が変わると眠れないんだな?」
何か勝ち誇ったように見当違いなことを言っている飛鬼を見て、この人のことなんて気にせず寝ていようかと思うが、その時ドアをノックする音が聞こえた。
「はーい」
ドアを開けるとそこにいたのは俺もそうだが、まだ寝間着として渡された浴衣みたいなのを着ていたユニアだった。
「マサキ様、おはようございます。今日は随分早起きですね」
「寝れるもんならもう一回布団に入りたいところなんだけど」
いつも俺はユニアに起こされて六時半頃に起床している。そのため四時の起きている現在は確かに俺からしてみたら早起きだ。
「でも、朝食は五時らしいのでそんな寝てられませんよ?」
「五時⁉︎」
早い、あまりにも早すぎる。いつもなら朝五時なんて起きる気配も無く、気持ちよく夢の中にいるような時間帯だ。
「黒エルフって早寝早起きらしくて、朝食も早いらしいんですよ」
なんて健康的な種族だろう。前世界の日本人高校生は就寝時間は午前零時過ぎで起床時間のは七時だったというのに……
「『黒』エルフなんだから夜行性なんだと思ってた」
外見と名前だけを意識した発言からユニアは苦笑しながら答えた。
「黒エルフだって好きで黒いわけじゃないと思いますし、黒=夜っていうのはマサキ様の勝手なイメージですよ」
身支度などのことを考え、二度寝を諦めてガクリと肩を落とす。ニーナやクランはドラゴンの背中に乗っているため寝てても支障がないが、俺は自分の意思で動く剣の上に乗っているためうたた寝は命取りだ。
「仕方ない……帰る準備してくる。また後でね」
「あ、はい」
身体に溜まる疲れをじっとりと感じながら、俺は部屋のドアを閉めた。




