第6章 15「第二の手段」
「申し遅れましたね、僕の名はエルルート。ドゥラルートの息子です」
エルルートは礼儀正しいお辞儀でこちらに挨拶してみせた。
「なるほど、よろしくねエルルート」
無重力状態の宇宙飛行士みたいな体勢でそう返しながら、不思議に思う。
「そいえば、なんでエルルートはそんな自然に立っていられるの?」
俺たちが可笑しな体勢になっている中、暗闇から姿を現したエルルートはまるでそこに地面があるように自然に歩いて、立っている。
「あぁ、そうでしたね、今解除しますから」
「解除するって何をうぁ!」
エルルートが指をパチン!と鳴らすと突然、あの体勢を保っていた謎の力は無くなり重力によって地面に引き寄せられると、受け身を取ることもできずに無様に着地した。
暗闇の中にしっかり地面があることを確認するとゆっくりと立ち上がった。
「あ、そういえばこれもですね」
エルルートはそう言ってもう一度指を鳴らすと何も見えない暗黒は一瞬、真っ白に染まってから徐々に世界の色を取り戻すかのように鮮やかに色塗られた。
「えーっと、ここは?」
辺りを見渡すとここは室内のようで、エルルートの後ろには玉座に座る男、左右には見たことあるような無いような衛兵のような黒エルフの戦士が二人。
エルルートは子供らしい無邪気な笑みを浮かべると左にはけた。
「ここは黒エルフの長、ドゥラルートの謁見の間ですよ」
「なるほど、じゃあ俺たちは直接、ドゥラルートの場所まで移動させられたと?」
その考察に玉座に座っていたドゥラルートは首を横に振った。
「いや、君たちが特別では無い。この地に来る者は一度絶対ここを通すようにしている」
「それって危険じゃ無いですか?」
そう聞くのはドゥラルートとは初対面のはず……というか面識があったらそれはそれで怖いのだがルナラナの発明家、ニーナはそう聞いた。
「お、何かまた金髪が増えているな」
その発言にユニアはニーナに少し身を寄せ、俺はユニアを庇うように右手を出した。
「おいおい警戒しすぎだ。もうあんなことはせんよ」
『あんなこと』というのは以前、思い出すのも嫌だが……ユニアを強姦しようとしたことだろう。
「危険ではない。まず危険なら、ここに落ちてきた時点で袋叩きにするからな」
そんな物騒なことを何食わぬ顔で言う黒エルフの長を見て、今度からはしっかり許可取ってから来ようと考える。
「んで、今日は何の用だ?」
ドゥラルートにそう言われて本題を思い出す。
「そうだった、またシャグルーが出た」
「なに?」
シャグルーという言葉にドゥラルートの表情が変わった。
「どういうことだ?」
「わからないからここに来たんだけど」
ドゥラルートは顎に手を当て、何かを考えているようだが……
「何か心当たりは?」
「無い」
らしい。
「確認だけど、シャグルーはこのサドルカの剣以外じゃ作れないんだよね?」
俺はサドルカの剣を腰から外してそう聞いた。
「あぁそのはずだが……」
ということは第二の方法が存在する。ということか。




