第6章 13「二頭の竜と一本の剣」
俺がニーナになぜ黒エルフの元へ行きたいのか聞くと、未知との遭遇がしたいからと言われ、危ないと言っても聞く耳を持たなかった。
『プライア』のことに関してはドゥラルートとの話次第、あと今後シャグルーが発生するかどうかで決めるという結論を取った。
それから三日が経った。
「はぁ、結局これだよ」
今回は疲れ果てることなく、ドラゴンの背中でゆったりと空の旅を堪能できると思っていたのだが……結局俺を載せているのは温かく、頼もしいドラゴンの背中ではなく冷たく、硬い刀身をお持ちの黒の大剣である。
「そんなため息ばっかり吐くなって、お前の剣は暴れないだけマシだろ?」
そう言うのはクランを一人で待たすのが可哀想ってだけで呼ばれたもう一人のドラゴン乗り、飛鬼だ。
「暴れないっすけど……これ疲れるんすよ」
「大丈夫ですよ、この分だと三割切る前に着きますから」
ニーナから貰った腕時計を確認しながらユニアはそう言った。
あの時計はどういう原理になっているのか、俺の体力を数値化することができる。一応、念のため、あまり使いたくは無いが、強体剤も持っている。
「にしても、黒エルフってどこにいるの?もう結構飛んでるよね」
先頭を飛ぶホプスの背に乗るユニアに尋ねるとユニアはニーナを介して返事をした。
「もうすぐで着くそうですよ?」
もうすぐ着くと言われても人里らしきものは一切見当たらない。
「マーさんお願いです」
「何?」
いつの間にか並走していた飛鬼の背中に捕まるクランがガサガサの声で言った。
「帰りはユニアさんの方に乗せてください」
「なんで?」
「ドラゴン酔いしました」
この世界に来て初めて聞く単語だが、これはクランの顔色から察するに具合が悪いのだろう。
そういえば会って早々から飛鬼の愛竜?愛ドラゴン?の『嵐雲』は主人の飛鬼に思い切り蹴りを決め、空を飛び始めてからはそれはもう見事なアクロバティック技を無駄に決めながら飛び続けた。
今でこそ疲れたのかおとなしいが、先程までのアクロバットはお金が取れるほど魅了される何かがあった。
「あ、ここらしいです」
ニーナの声でそう伝えられるとホプスは急降下を始めた。合わせて俺と飛鬼の方も急降下を始める。
「っや!きゃあああ‼︎」
また、嵐雲が無駄にアクロバットを決めたせいで既にガラガラなクランは更なる絶叫を余儀なくされた。
地面に降りるとそこにあったのは一つの洞窟。
「こん中に住んでるの?」
飛鬼に小声でそう聞くと
「いや、俺は知らねぇよ」
改めてユニアに
「こん中に住んでるの?」
同じことを聞くと
「はい」
と、自信満々に帰ってきた。
洞窟を見ると松明の一つも付いていない。それに黒エルフって結構な人数がいた気がするのだが、この洞窟にそれだけのキャパシティがあるとは思えない。
ユニアはカバンから松明を取り出すと火をつけ、洞窟の中へ進んでいった。
「あ、ちょ、待って」
俺はそれを急いで追いかけて行った。




