第6章 9「昼過ぎのおはよう」
午前五時に部屋に戻って眠りにつくと、次に目を覚ましたのは正午のことだった。
目をこすりながら部屋から出ると、まだ眠り足りなそうなユニアが丁度俺の部屋に向かっているところだった。
食堂で朝昼兼用の食事をとり、『影の獣』と『プライア侵入』の話し合いのためにクランを呼び出しに行く。
なんやかんやでクランは頭が回るためこういった作戦会議的なものには参加してもらおうと家まで呼びに行く。
基本学生は平日に学校へ行くものだがクランは天才が故に学校へはいわゆる出席日数さえ稼げば卒業出来るらしい。なので彼女が平日どこにいるかと言うと……
「クランさーん!」
返事はない。
王都からさほど遠くない住宅街、見渡せば多種多様な種族が談笑したりしている。
「まだ寝てるんですかー⁉︎朝寝坊ですよー!」
現在地はクラン宅の玄関前、周りの人々からの視線を感じる。
まぁ真っ昼間から住宅街で奇声をあげる変質者だもんな。
「起きてー!クランさーん‼︎起きて下さーい‼︎クランさーん⁉︎クランちゃーん⁉︎クーラーンー‼︎」
そこでやっとドアの向こうからドタドタ足音が聞こえた。
部屋のドアがガチャっと開けられ、息が切れたクランが出てきた。
「本当に……近所迷惑……なので……」
「おはようクラン」
笑顔で朝のあいさつをするとクランは微妙な表情をした。
肩で息をしながら呼吸を整えるクランに俺は今日来た内容を簡潔に伝えた。
「わかりました……行きます……行きますから、もう家の前で叫ばないでください」
周りを見渡すとこちらを見ている多種多様なマダム達は何やらコソコソと話している。
「うーん、考えとく」
そう言うとクランは首をガクッと落とした。
クランの呼び出しに成功したことを喜びながら俺は城に戻って第二の協力者に声をかけた。
「ニーナ?」
「なんです?マサキ」
この国唯一の純外国人ことニーナは今日も青い作業着を着ていた。
「作戦会議っていうかお話し合いに付き合ってほしいなー……なんて」
一応外国人、今まで俺に知恵を貸してくれた少女は一瞬考えてから口を開いた。
「内容によります」
「うーんとね、一つはなんか『影の獣』で……」
そう言った瞬間、ニーナは瞬間移動のような速度で俺と距離を詰め、両手をギュッと握った。
「『影の獣』?なんですか、その唆るタイトルは‼︎」
こうしてニーナの参加も決定した。
国の重大会議をこんな数人で行っていいのか疑問だが、コミュニケーションに難がある俺からしたら何故か美女三人に囲まれて話し合いしていること自体奇跡みたいなものだ。
誰かと相談できるだけ幸せに思おう。
そう考えながら重大な会議の会場である、城の食堂へと向かった。




