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第6章 3「幸せについて」

 クランは科学的なモノにトラウマでもあるのだろうか?

 金髪と遠隔通信で失神した……遠隔通信っていうより金髪のニーナを見たことが大きいのだろうか?

 そういえばクランと初めて会ったのは外国人の公開処刑場……ではないな、なんかナンパされてたんだ。

 ユニアとは仲良くしてるはずなのだが……

 庭園の芝生に寝転がり、風に流され過ぎ行く雲を見ながらふとそんなことを考える。

 こうして一人でゆっくりと寝転がるのはいつぶりだろうか、この世界に来てからなんやかんや忙しすぎてあまりゆっくり出来ていなかった。

 ユニアは仕事、ニーナは研究、クランは気を失って俺の隣にいる。

 隣で木に背を預け、風に当たる姿は大変目の保養になる。彼女は先程また倒れ、彼女の看病兼自身の休憩として庭園にやってきた。

 だが、片手で女子を担ぐのは少し気が引けたためここまでクランを運んで来たのはユニアである。

 利き腕を失ったくらいならご飯が食べづらいぐらいの不便さだと思っていたのだが、女子を米俵のように担がないといけないのではカッコがつかない。

 これではいざって時になんかなぁ……

 そう思いながら自身の左袖を見るがそれはいつ見ても空っぽのままだ。

「はぁ……」

 腕を元に戻したいと思わないわけがない。でも、この腕はテニーの命とともに失われたものだ。これを回復系魔法で回復させれば俺の中で『テニー』という存在が薄れてしまうような気がして怖いのだ。

 人間は忘れる動物だ。良いことも悪いことも時間とともに薄れ、あやふやになっていく。

 だが、忘れてはいけないこともこの世界には沢山ある。それこそ、自分の命を守ってくれた恩人の名前とか……

 だから俺はこの腕を元に戻すことは無い……と思う。

「はぁ……」

 自身で意識することなくもう一度ため息を吐くと、隣の少女が目を覚ましていることに気がついた。

「ため息を吐くと幸せが逃げますよ」

 起きて早々そんな助言を俺に言うクランは調子が良さそうだ。

 顔色を見るために持ち上げた身体をもう一度芝生に広げた。

「幸せか……」

 大の字になって不意に出た『幸せ』という単語について考えてみるもあまり良い答えは出てこない。

「なぁクラン」

「なんです?」

 クランは俺につられて芝生に寝転がった。

「幸せってなんだろうね」

「なんですかね一体」

 お互い幸せを理解していないということから意味のない会話を続けた。

「私は……」

「ん?」

「幸せってのはいつも通りの日常だと思いますよ?」

「その心は?」

「んーっと、人生の中の悪いことも良いことも全て含めて最後に幸せって形になるのかなって思ったんです」

「あー、なるほどわかるかも」

 クランの意見に賛成したところで俺は自分の身体を起こした。

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