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第6章 1「ニックネームと侵略者」

 ニーナの部屋を出たあと自分に装備出来ないマメ二号を右手で握りしめて自室に戻った。

 俺の部屋にはユニアとクランがいた。紅茶を飲みながら二人で何か話しているようだ。

「や」

 簡単に挨拶を済ませて部屋の中に入る。

「あ、どうもマサさん」

 クランはテニーに影響されて俺のことをマサさんと呼ぶようになったようだ。

「『さ』が二回続くのって言いづらくない?」

「まぁそうですね」

 そう言うとクランは俺に背を向けて一人で何やら考え始めた。

「あ、ユニアにこれ」

 俺は右手で握り続けていたマメ二号をユニアに差し出した。

「なんです?」

「マメ二号」

「え?」

「腕時計型の機械だってさ」

 ユニアは不慣れな感じで自分の左腕にそれを巻きつけた。文字盤のない時計の表面を指で軽く叩くとそこには『76』という数字が現れた。

「76?」

 俺はニーナの説明を丸々そのままユニアに伝えた。

「そうなんですか、マサキ様の体力が」

 そう言って面白そうに時計を見ている。

「あ、1減った」

「報告しなくていいよ」

 するとユニアは何かに気づいたのか不思議そうな表情をした。

「でも、これってマサキ様が着けた方が便利なんじゃないですか?」

 どう答えたものか一瞬考えてから口を開いた。

「それもそうなんだけど、それって着ける腕と操作する腕と二本の腕が必要で……」

 そこでユニアも察して俺の右手を見る。

「治せてばいいのですが、その……足を治したときに耐性が……」

 言いづらそうにユニアはそう説明した。

 闘技会の時に右足を失い、『(ひこばえ)』という方法で元に戻した。今の言い方だとその方法には免疫がつきやすいのだろう。

 まぁ仕方ない。何せ生物の一部を代用できるのだから一回使えるだけでもありがたいというものだ。

「大丈夫だよ、まだ色々不慣れだけど多分慣れるさ」

 決してユニアが謝ることではないのだが、ユニアは

「すみません」

 と、俺に頭を下げてきた。話題を変えようとなんとなく考えていたことを口にする。

「こないだ考えてたんだけど、そろそろやってみようと思うことがあるんだ」

「やってみたいこと?なんですか?」

 反対されることは……多分無いと思うのだが、何せこの国の常識では敵国の人間殺すべしなんていう物騒なものなんだから。

「乗り込んでみない?敵国に」

「本気ですか?」

 驚愕してこちらに顔を寄せてくる。

 そして何か今まで考え事していたクランがバッと振り返った。

「マサさんがダメならマーさんってのはどうですか?」

「いいんじゃない?」

 背中を仰け反らせながら俺は精一杯の普通の声でそう言った。


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