第5章 50「救世主」
重い足取りの中、人々が外にいる人達が一望できるバルコニーに向かう。
「はぁ……」
起きてすぐにこんなことって……
「はぁ……」
ついてないな……
そんなことを考えながら外にひょこっと顔を出すと
「出てきたぞ‼︎」
と、叫ばれ口々にいろいろなことを言っている。
「随分な嫌われようだなぁ」
そこまで悪いことをした覚えはないのだが。
「みんな当たる相手がいないんだよ……エレクスタルに文句を言うってことも出来ないし……だから守れなかったお前らが悪いって戦うたびに文句言ってくるんだ……」
ミルドに説明を受け納得するが、これはただ八つ当たりの標的にされたってことか。
「俺たちは命がけで戦ったんすけどね……」
「関係ないよ……彼らにとって僕たちは家を壊した人達と同じようなもんだからね……」
そう言うとミルドは手近にあった拡声器みたいなのを手に取って俺に渡してきた。
「はぁ……」
溜息をつき、仕方ないことだと自分に言い聞かせてから話し始めた。
「えぇ……皆さんおはようございます」
俺が話し始めても未だ口々に何か言っている。
「えっと、皆さん大変ご立腹なようなんですがこちらから出来ることは特にございませんのでお引き取り願いたいんですけど……」
そう言うと群衆は一度静まり返ってから先ほどより熱を増して叫び始めた。
「ふざけんな!」
「弁償しろ!」
「何言ってやがんだ!」
うわぁ……めっちゃ文句言われてる。
「えっとですね……」
俺が説明を続けようとしても群衆は耳を貸そうとしない。
さて、どうするべきか……
「てめぇが弱っちいから国が襲われるんだよ‼︎」
どこからかそんな声が聞こえた。
それに便乗するように口々にそのような声が聞こえる。
「魔王なんてやめちまえ!」
そんな声まで聞こえる。
「降りてこい!このヘナチョコ魔王‼︎」
いつの間にか攻撃対象は国の兵士たちから俺一人へと移行していた。
俺も精一杯戦ったつもりだけど……
たしかに気を失っている間に戦争が終わってたでは威厳もクソもありはしない。
俺が一人でそんなことを思っていると横から俺の持つ拡声器を奪う一人の女性がいた。自称ルナラナ一の発明家、ニーナだ。
「あー、あー、よし」
ニーナがマイクテストみたいなことをしていると群衆はいつの間にか静かになっていた。
基本、城の中でずっと何か作っている外国人であるニーナを見て唖然としているのだろう。
この国にいて金髪を見る機会などほとんどない。それこそ戦争や襲撃またはユニアの外出くらいか?
マイクテストを終えるとニーナは俺を一瞥してから話し始めた。




