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第5章 46「彼と平和と黒い靄」

 マサキを獣から人に戻した後、私たちは一度城に戻った。

 魔王であるマサキは未だ熟睡中のため、代わりにミッダが通告鏡で国中にエレクスタルが去ったことを伝えた。

 結局国民たちはダンジョンボックスを作ることなく各々避難していたようだ。死者や怪我人は確認してみなければわからない。

 その後、マサキは一度医務室に運ばれた。

 胸の傷はもう無くなっており、足りなくなった血を輸血すればどうにかなるそうだ。

 左腕は……一度そのままにしておく事に決まった。過去に足を治したような『(ひこばえ)』を使えなくもないが、あれはあくまで緊急用、それにあの魔法は耐性がつきやすく一度使用すると二度目の使用時に再生した部位が動かなくなる可能性がある。

 全ての処置を終えたマサキは自室で寝かされた。

「あぁ……本当に生きててよかった……」

 自分で胸を貫いたときは本当に死んでしまったと思った。

 もう帰ってこないと思った。

 マサキの寝るベットの隣の椅子に腰掛け、一人なのをいいことに泣き始めてしまった。

 そのまま一人で泣いていると後ろから思わぬ声がした。

「あぁ……お取り込み中にすみませんね」

 背後に立っていたのは私と同じ金髪、作業着を着た少女、自称ルナラナ一の発明家ことニーナだ。

「いえ、構いません」

 するとニーナは椅子を持ち出して私の隣に座った。

「今回、マサキは『獣』のようになったと言っていましたね?」

 私達が帰ってくるなり、マサキの異常に気付いたニーナに事情を聞かれた。

 隠すべきことかどうかもわからず大体全部、洗いざらい全てを話した。

「えぇまあ」

「それってあの黒い剣が関係あるんですか?」

「黒い剣?」

「あっと神剣の方ではなく、あの……なんでしたっけ?サド……」

「サドルカ?」

「そうサドルカです」

 するとニーナは腕時計みたいなものをカチャカチャいじると何もなかった空間にホログラム?というのだっけ?半透明の板を出現させた。

「これは?」

 そこに写っていたのは数十人に取り押さえられているマサキの姿。

「これはマサキがルナラナに来た時の写真です」

「えーっと、これがどうしたんですか?」

 そう聞くとニーナは写真の一部を拡大させた。

「えーっと?」

 未だわからず写真を凝視する。

「ここの部分に黒い靄みたいなのが写ってるのってわかりますか?」

「あぁ、まぁはい」

「私は『獣』のマサキを見てないのでわからないのですが、これはサドルカの剣によるものですか?」

 そう聞かれ、また写真を凝視する。

「恐らく……」

「なるほど、そうですか」

 何か勝手に納得するようなニーナはそのまま部屋から出て行こうとする。

「あの!これがどうしたんですか?」

「詳しくはもうちょっと情報を集めてから話します」

 そう言って彼女はどこかへ行ってしまった。

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