第5章 43「全滅集団」
「俺がこっから狙う」
「了解」
ミルドと短いコミュニケーションをとりながら、俺は身体を低くし剣を構えた。
「はぁぁぁ……」
剣先に魔力を集中させる。
ミルドは戦艦の前に飛び出ると巨大な拳で戦艦の進行を止めた。
「圧縮!嵐刃砲‼︎」
「なんだそりゃ」
つい言葉にしてしまった自分で命名した必殺技は一直線に戦艦を貫いた。
後ろからツッコミを入れたのは先代の『嵐』の神剣使い、ミッダだ。
とても恥ずかしい……
戦艦は沈没まで行かないものの、使用不能くらいまでには出来たはずだ。
そこで自分の羞恥心が限界を超え、両手で顔を抑えて膝から崩れ落ちた。
すると俺の肩に一人が手を置いた。
「マサキ様が言ってました。飛鬼さんの現状は『穴があるなら入りたい』と言うらしいですよ」
悪意なのか、それとも無意識なのかそう言うユニア。
そんなユニアは恐ろしい速度で帰ってきたミルドに肩を叩かれた。
「僕も聞いたことある……ユニアさんの言動は『傷口に塩を塗る』って言うらしいよ」
俺の必殺宣言は聞いていなかったものの今ので大体状況を察したミルドがそんなことを口にした。
「うるせぇな!いいだろ別に‼︎」
同年代二人にそう反論するとツッコミを入れた先代が口を開いた。
「飛鬼……だ、大丈夫だ。男たるもの憧れるよな、必殺技!」
ミッダの言葉に何か心に刺さるものを感じた。
「ミッダさん……今は慰めないでください‼︎」
慰めの言葉が逆に痛い。
「あ、マサキが……」
深刻そうにそう言ったミルドの言葉に全員が視線をマサキにずらす。
もちろん地面と睨めっこしていた俺もだ。
「う、嘘だろ……」
戦況は『圧勝』という言葉がお似合いだ。
マサキを囲んでいた狂戦士は跡形もなく消えている。
俺たちが戦艦を止めている間にマサキは一国が相手にしていたものを一人で片付けてしまったのだ。
「これが……魔王か……」
何かを確かめるようにミルドがそう言った。
そういえばミルドは元魔王志望だったんだだけ、ポッと出のマサキに闘志を燃やしていたが闘技会でマサキに敗北した。それからは友好的な関係にあると聞く。
事前情報によるとアレはエレクスタルが誇る『殲滅部隊』だったはずだ。
それも魔王専門の勇者集団、いくら残りが少なかったとしても隻腕のマサキに負けるのは……マサキが強すぎるのか、それともブレイブが拍子抜けだったのかよくわからない。
マサキは次なる獲物を探そうとキョロキョロ周りを見渡している。
マサキの視界に入る前に俺たちは瓦礫の陰に隠れた。
そして次にターゲットにされたのは俺たちが逃走を食い止めた戦艦だった。




