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第5章 36「生きて帰って」

『戦争を終わらせる』

 その言葉からある人との会話を思い出した。

「ユニア、俺戦争終わらせてくる」

 そう言って立ち上がろうとしたところでグラついた。

「うげ……」

 身体に力が入らず、倒れこむ。

 よくよく考えれば五日間飲まず食わずだったのだ。死ななかっただけ良かったのかもしれない。

「今何か食べれる物を取ってきます」

 ユニアはそんな俺の状況を察して部屋から出て行った。

『テニーが死んだ事実は変わりません』

「あぁその通りだよ……」

 ユニアに言われた言葉を思い出し、返事を言った。

 わかっている。そんなことわかっていたんだ。俺が嘆いても何も変わらないことなんて……

「持ってきました」

 ユニアが持ってきたのは大量のサンドイッチ、それを見ると腹がグゥーと鳴り、俺は本能のままそれらを食べた。

「良かったです……本当に良かったです」

 目に涙を浮かべながらユニアは嬉しそうにそう言った。

 そんな中黙々とサンドイッチを頬張り続けた。

「ふぅ……ごちそうさま」

 そう言ってから立ち上がった。物を身体に入れたおかげで今度はなんとか立ち上がれる。

 壁に立て掛けてあるサドルカの剣を腰に装備し、出撃の準備を完了させる。

「もう出るんですか?まだ、マサキ様のローテーションまで三時間ほどありますよ?」

 現時刻は正午過ぎ、確かにまだ出撃まで時間はある。

 だが、俺はこの戦いを一刻も早く終わらせたいのだ。

 終わらせて友の墓を建てるために……

「いや、いいよ。もう出る」

「そうですか」

 そう言うユニアは少し俯いた。

「でも、どうするつもりです?この戦争は……こう言ってはなんですが、まだ続きそうです。そんな急に終わらせるなんて……」

「あぁ……まぁでも大丈夫さ、俺ならこの戦いを終わらせられる……」

 そう終わらせられるのだ。この戦いを……

 俺が努力するだけで終わるのだ。

「なぁユニア、敵の本拠地ってわかったり?」

「えぇっと、位置の推定くらいなら出来てます」

「わかった。で、その方向は?」

「今回の襲撃、ブレイブは全て同じ方向から進軍しています。つまりその流れの大元が敵の本拠地と考えています」

「なるほどね。了解」

 つまり、敵の来る方向を探って行けば本拠地に着くということか。

「じゃあ行ってくる」

 俺がその場を立ち去ろうとしてもユニアは手を前に組んで動こうとしない。

「マサキ様!」

 ユニアの横を通ったところで叫ばれた声に振り返る。

「生きて……帰ってきますよね?」

 生きて帰ってくる……か。

 どうだろう……わかんないや。

「うん。もちろん」


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