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第5章 30「俺のせい」

 目の前にいるテニーにどう触れていいかわからず利き手の左手を伸ばした。

 探るようにゆっくりと手探りに近づけようとするも狂戦士はそんな俺の動きも見過ごさず、左手を二の腕から切り落とした。

 ……手がなくなった?

「ははっ、はははははは……」

 失った左手、致命傷の傷を負ったテニー……脳内の処理が追いつかず、気が動転して笑い始めた。

「あははは……あははは……」

 腕が痛い腕が痛い腕が痛い腕が痛い腕が痛い……

 テニーテニーテニーテニーテニー……

「はははははははははははは……」

 喉から血が出るほど、目から流れる涙で瞼が痛くなるほど、笑ったあと俺の意識はなくなった。


 目を開けるとそこはいつも寝ている俺の自室。

 気分が悪い……左手を見ると包帯が巻きつけられ、やはり左手はなくなっていた。

「起きたようですね……」

 そう言って俺の部屋に入って来たのはユニアだった。

「ユニア、テニーは?無事だよね?大丈夫だよね?なんて言っても魔法の国だし!そうじゃん!そうだよ、魔法の国だここは!じゃあテニーは大丈夫だよね?生きてるよね?」

 俺の怒涛の質問責めにユニアは無言で俯いた。

「なんで何も言わないの?」

 その質問にも無言だ。

「ねぇ、ユニア生きてるんだろ⁉︎」

 ユニアは何も言わない。

「そんな、嘘だ……」

 無言の肯定に絶望を覚える。

「んああぁ……」

「マサキ様……」

 俺のせいだ……俺のせいでユニアは死んだ。

「なんで俺が生きてんだよ……」

「そんなに自分を責めないで……」

「無理に決まってんだろ!」

 ユニアの言葉を遮り、そんな強い言葉をぶつけてしまう。

「あ、ごめん」

「いえ、私こそ軽率でした……」

 そう言うとユニアは一礼してこの部屋から出て行った。

「ぬあぁぁぁ‼︎何ユニアに当たったんだよ‼︎」

 ックソ!最低だ。

 俺があの場でボーッとしていなければ、テニーは死ななかった。

 早く撤退していればテニーは死ななかった。

「ックソ!クソクソクソクソクソクソクソ……」

 三角座りで嘆き続ける。

 俺のせいでテニーは死んだ。

 三角座りから大の字になる。

 一度頭を整理しようと深呼吸する。

 今俺が嘆いていても仕方がない……そんなことはわかっている。

 失われた命は戻らない……それはここが魔法を使える世界だろうと元いた世界だろうと変わらない。

 ゼロはイチにはなれないのだ。

「受け入れろマサキ!この事実を‼︎」

 自分に言い聞かせるも叶わない。

 目からはボロボロと涙が溢れ落ちてくる。

 嘆いていても仕方がない……だが、この事実を嘆かずにもいられないのだ。


 俺は一体……次に何をしたらいいって言うんだ。


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