第5章 22「仲が悪い……わけじゃない」
一直線に伸びていった炎の嵐は一度ピカッと光った後にドゴーンという爆音を残していった。
「うおっと」
隣で剣を構えていたマサキは地面にペタンと腰を落とした。
「大丈夫かマサキ?」
そう言って手を伸ばすがマサキは首を横に振った。
マサキには魔力がないため神剣から出される炎は自身の体力から出されるという話を前に聞いたことがある。
つまり、立ち上がれないほど今の攻撃に体力を使い果たしてしまったのだろう。
「仕方ねえなっと」
大剣を首飾りに戻したマサキは大変軽く持ち上がった。背負って城まで連れ帰ることにしよう。
「す、すみません」
「あぁ良いってことよ」
申し訳なさそうに俺に謝るマサキを見るとこちらが申し訳なくなってくる。
「そいえばさっきのってなんなんです?」
考えてみればマサキに対する説明をまだしていなかった。
「さっきのは昔ミッダさんと魔王エルレがやってた必殺技的なやつかな?」
「必!殺!技!」
必殺技という単語にマサキは異常なほどにテンションが上がったように感じられる。
「『嵐』の神剣で推進力を作り出して、『炎』の神剣で破壊力をアップさせるんだ」
「なんかカッコいいですね」
「だろ?俺もそう思う」
城までの帰路、こちらの担当時間は残り十分ちょっとだったため戦場へと向かう交代組に出くわした。
「あれ?マサキどうしたの?」
そこで会ったのは今日も顔色が青白く、体調の悪そうな魔族の『樹』の神剣使いミルドだった。
「体力切れで立てなくなりました……」
情けなさそうに後ろで力無い説明が聞こえた。
「まぁゆっくり休むといいよ……鬼の君もね」
そう言うとミルドは俺に目を合わせてきた。
「俺は別に……」
「無理しなくていいよ。魔力はもうほとんど感じられない……逆にこれ六時間で回復できるのかな?」
確かにマサキを背負って歩いているだけで今は結構辛い。
体力は六時間の戦闘でほぼないし、集中力もそれなりに消耗してる。何よりさっきの一撃で魔力は底をついたに等しい。
「できる……多分」
「まぁいいや……気をつけなね。さっきの爆発音って君らでしょ?戦場での無理は命取りだからね……」
どこまでも見透かしたような表情のミルドは俺にそう言って戦場に向かっていった。
「ったく……」
「飛鬼さんってミルドさんと仲悪いの?」
「別に仲が悪いってわけじゃない……ただ」
「ただ?」
なんと言ったらいいのだろう?
あいつのことは別に嫌いじゃないが好きにはなれない。一体なぜだ?
「馬が合わねえんだよ」
そう言ってまた城へと歩き出した。




