第5章 20「同じ敵を何回も」
交代予定時間まで残り一時間
敵は体力の底の見えないバケモノのように未だ元気に襲いかかってくる。
六時間かけて倒せたのはほんの数体。全体含め何十体といったところか。
相手の被害に対してこちらの被害は割と甚大だ。
『死ぬ前に逃げろ』をモットーに戦う自陣は時が経つごとに確実に着実に少なくなっている。
『圧縮嵐刃砲』は一度に使用する魔力が大きすぎるため連射できない。
さっきのような足が食い込んで身動き取れないとかそういうときに使う最後の切り札ってやつだ。
現在戦闘中の狂戦士と一度距離を取るため後ろにジャンプすると誰かの背中にぶつかった。
後ろをチラッと見るとそこには大剣を握りしめたマサキがいた。
「おう、マサキ。何体倒した?」
そう言うとマサキは後ろにいるのが俺と気づいたようだ。
「あ、どうも。大体十体いかないくらいですかね」
「そっか俺とそんな変わらないな」
「じゃあお互いあと小一時間くらいですか?頑張りましょう!」
「おうよ!」
お互いそう言い、また狂戦士の方へ走り出した。
剣を後ろに構えて剣から爆風ともいえるレベルの風を巻き起こす。
「おらあぁ!」
風に乗って一気に距離を詰める。
そして勢いそのままに首元に斬ってかかる。
スパーンと、不意を打たれた狂戦士は大人しく五度目の絶命を迎えた。
「あと五回くらいか……」
息を切らし、心拍が荒れているのを感じる。
首元からグニャグニャと粘土のように新しい首がドンドン出来上がっていく。
蘇った狂戦士は振りかぶって大剣で横薙ぎにしようとしてくる。
体勢を低くして剣で攻撃を受け流す。
剣から火花が飛び、重たい剣が通り過ぎていくのをただひたすらに待つ。
ギギギ、と変な音が頭の上から聞こえて不安になるが、大剣の重みがなくなったのを感じて安堵する。
狂戦士はそのまま大剣を振り切り、無防備になる。
「今だ!」
膝から足を横薙ぎに斬る。
「ガアッ!」
足がなくなった狂戦士はグラついてその場に倒れこんだ。隙を逃すまいと頭部まで走り、頭を串刺しにして動かなくなったのを見て合計六回同じ相手を殺した。
刺し傷と足だけだと回復は早く、相手はすぐに立ち上がった。
いくら鍛えているとはいえ六時間ぶっ続けでの戦闘は中々辛いものがある。
休憩の六時間は食ったらすぐ寝るくらいになってしまいそうだ。
あと一時間か……
ならあと一発いけるか?
「マサキ!そっちは片付いたか?」
俺のすぐ真後ろで戦っていたマサキは振り返り返事を返す。
「はい!こいつも多分もうすぐ倒せます」
「そうか、じゃあそいつが終わったらこっちに来てくれ!俺も今すぐ目の前のを片付ける」
「でも何するんです?」
「俺に考えがある」




