第5章 13「再生不死身」
人間の体は時間をかけて再生する。
かすり傷とかなら数日、骨折とかなら数ヶ月だろうか?
俺の目の前で起こった再生は自己治癒の域を大幅に超えている。最早それは不死身とかそういう人知を超えたレベルの話だ。
今まで信じられないことなどたくさんあったため大抵のことでは驚かないと思っていたが……この世界を舐めていたようだ。
「マサキ!」
唖然としていた俺を狙った狂戦士の攻撃を後ろから駆けつけた飛鬼が自らの神剣で受けた。
剣同士がぶつかり合っているようにも見えるが飛鬼の剣の周りに発生している竜巻に阻まれて狂戦士の剣は通っていない。
「おりゃあ!」
飛鬼は風圧で狂戦士を吹き飛ばしてみせた。
振り返った飛鬼は俺の肩をガシッと持った。
「落ち着けマサキ!ブレイブの回復なんていつものことだ!焦るな!死ぬぞ!」
「は、うん。すみません」
俺に喝を入れると飛鬼はまたどこかへ走って行った。
俺は『ブレイブ』という存在を甘く見ていたらしい……これが筋肉ダルマの脳筋集団ならどれだけ良かっただろうか。
俺が相手にするのは不死身の筋肉集団、しかも復活回数は不明だ。
「ずるいなぁ……」
「はーはっはっはっはっはっ!すばらしいなこれは本当に素晴らしいよ!」
不死身筋肉の隙間を縫って悠々と白衣の男が歩いている。
顔には特徴的な丸メガネをかけ、金色の髪の毛は後ろで結んでポニーテールになっている。
「誰だお前?」
ていうか何で誰も攻撃しないんだ?
「お?君には僕が見えてるんだ。へぇー」
男は俺に興味を示したようにこちらへ駆け寄ってきた。そして目の前で両手をバタバタさせたり、ジャンプしたりした。
それに冷たい視線を送る俺を見ると納得したように動きを止めた。
「うん。見えてるっぽいね」
「お前はあっち側の人間か?」
俺の質問を無視して男はさらに話し続ける。
「うーん。この白衣はまだ改良の余地がありそうだな」
「おい。お前は……」
俺のことは見えてないのだろうか?
「やっぱり神剣とかそういう類なのかな?加護的な?ずるいなぁ、これだから魔法は」
「人の話を聞け!」
男は下を向いて考える姿勢からこちらを向いた。俺を上から下まで観察したところでようやく会話が始まった。
「黒い大剣か……君が魔王?」
「ま、まぁ」
そう答えると男は後ろを向き、また去っていった。
余裕のある足取りに若干油断したがすぐに追いかけて肩を掴んで振り向かせる。
「おい!人の話を……」
「おい……」
先ほどのゆったりとしたイメージの男とはまるで別人のような殺意を感じる。
「……っ!」
男の目はとても冷たい。まるで人ではない悍ましい何かに向けるような軽蔑しきった目だ。
「その汚い手で僕に触るな‼︎」




