第5章 12「狂った戦士」
走っていると俺が向かうのとは逆の方向に多くの人々が走ってくる。
その人々を抜けたところでようやく俺は敵を視認するに至った。
「え……?」
そこでは既に多くの兵士が戦っている。しかし敵は人と言うには明らかに大きく、明らかに悍ましかった。
「あれが……ブレイブ?」
身体中が継ぎ接ぎだらけで肌はよく見ると所々色が違う。人間の数倍の大きさ、鎧などの防護服は着ておらず両手には大きな剣を一つずつ持って戦っていた。
呆気にとられその戦いっぷりを見るが、戦い方からは理性など感じられない。目前にいる敵をただひたすらに屠っているように見える。まさにニーナから聞いた通りの狂戦士だ。
「ほらマサちゃん行くよ!」
横を駆け抜けていってテニーに背中を叩かれ、黒の双剣を構えて炎で加速し突進する。
「うおおお‼︎」
狂戦士に向かって走る兵士たちの頭上を越えて斬りかかる。が、俺の剣は相手の剣によって軽々と止められた。
「っぐ!」
急いで離れようとするものの間髪入れずに追撃してくる。それを右の剣で捌いたところで走っていた兵士が俺に追いつき、周りから攻撃をし始め狂戦士の意識が俺から外れた瞬間に一度距離を取る。
「ふぅ……」
攻撃の一つも当てられなかった。
サドルカの剣を使うか?
いや、周りに被害を及ぼす可能性が捨てきれない今はまだ使えない。
アルムスの剣は?
意識を一本一本に使うアルムスの剣では体力の消耗が早すぎる。まだ戦いは始まったばかりだ。アルムスも使えない。
と、するとやはりこの炎の神剣で戦わなければならないということだ。
双剣を大剣に戻して、後ろに構える。
「ふぅ……」
口から息を吐き、剣のリーチを炎で拡張するイメージを持ち、一気に加速する。
「みんなどけ!」
俺の叫びに狂戦士の周りにいた兵士は一度距離をとった。
「てりゃあ!」
防御姿勢として剣二本を顔の横に構え、俺の攻撃に備える狂戦士。
しかし、俺の黒の大剣はそのガードを瞬間で溶かして右肩から左わき腹にかけて斬った。
「しまった……」
自分がしてしまったことに背筋が凍った。
また俺は人を殺してしまった……
着地すると、目の前の狂戦士は未だに立っていた。
斬った跡からは血が吹き出し、内蔵が見える。
「っう、うぅ……」
気分を悪くして口を抑えるが狂戦士の様子がおかしい。
先程まで流れていた血が止まり傷跡からはいつぞやの蘖を思い出させるような、それでいて早さは桁違いに早く先程無くなった自身の身体を再生したのだ。
「……え?」
嘘だろ?




