第5章 9「時間と自責」
その後すぐに鏡室へ向かい、通告でダンジョンボックスの作成を呼びかけた。
それから三日後、俺は単独でクランの家に来ていた。現状の完成具合を確認するためだ。
「それがですね……」
クラン曰く、やはりダンジョンボックスの作成には皆あまり乗り気ではないそうだ。作成に取り掛かっている人の方が少ないという。
現状は予想していた最悪の状態だ。
「そうか」
短く言い残し俺はクランの家を後にした。
マズイ……マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ……
クランの前ではあくまで冷静にそう言ったが内心ではとても焦っていた。
ニーナ達と話した結果、ブレイブの存在はパニックを避けるために黙秘ということにした。
やはりブレイブの存在は明るみにするべきだった。
だが今更後悔しても仕方がない。ブレイブが来るまで後四日しか残っていない。
ここからダンジョンボックスの作成はほぼ不可能。余裕を持って二十五人で一週間だったが四日では間に合うまい。
ならば残っている可能性は何だ?
自身の経験や見てきたもの、聞いたもの読んだものから使えそうな情報を搔き集めるがあまり良いものは思いつかない。
右手で口を抑え、止めどなく考えを広げながら道を歩く。
よくよく考えてみたらこの弱くて小さい魔王は闘技会に優勝した以外の経歴が何一つないのだ。その優勝すら言ってしまえば剣の属性相性と性能のおかげだ。
鼓動の音が自分で感じられるほど心臓が跳ね上がっている。
「はぁ……はぁ……」
良くない想像ばかりをしてしまい、呼吸が荒くなる。
「このままじゃ……」
どうにもならない現状、不安で押し潰されるような感覚を覚える。
「どうしたら……?」
頭を掻き毟り、ふらふらと覚束ない足取りで歩き続ける。
「んなぁぁぁ……」
このままじゃ犠牲が出る。
しかも俺のせいだ。
「クソ!クソクソクソクソ!」
人に聞こえるか聞こえないかくらいの声量でそう言い続けた。
「マサキ様?」
急に呼ばれて、ハッと前を向く。
「ゆ、ユニア……」
「何があったんですか?」
話すべきだろうか?
いや、話すべきだ。ユニアにもこの問題点を言って解決策を話し合うべきだ。
「何でもないよ?」
急に口から出たデマカセに自分でも驚くが出てしまったものは仕方ない。
「そんなわけないじゃないですか?」
「いや本当に何でも……」
するとユニアは表情を変えて言った。
「マサキ様は私のことが好きなんですよね」
「え、あぁうん。そりゃもちろん」
心臓がドキンと跳ね上がるのを感じる。
「なら、話してください。私には話せというのに自分は話さないのですか?」
「ごめん」
俺はユニアにキチンと話すと決意した。




