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第5章 8「剣のフルパワー」

 後頭部を両手で抱えながら地面で無様に転がっていると上から声がした。

「なんの相談もなしに突っ走るのはやめてください。早けりゃいいってもんでもありません」

「……」

 確かに俺は今、通告鏡でダンジョンボックスの作成を促すこと以外何をどう説明するかを何も考えていなかった。

「マサキが考えている以上に多分、ブレイブの存在は有名です。これまで何回かこの国は襲撃されてますから」

 だからクランもユニアも知っていたのか……

「じゃあその時はどうやって撃退したの?」

「それは……」

 ユニアは苦渋の表情を浮かべている。

「前回の攻撃が三年前でした。その時は前魔王と三人の神剣使いによって撃退されました」

 さすが先代の皆様は随分とお強い。

「多分今回はそんな上手くはいきません」

「どうして?」

「まず第一に現在の神剣使い、マサキ様をはじめ飛鬼、ミルド、ユウラは未だ剣の本質を使えていないからです」

 剣の本質?

「さらにユウラは帰国したため今は三人しかいないっていうのも問題です」

 人数に剣の力を引き出していないか……

 剣のことに関しては似たようなことを闇の神サドルカも言っていた。

 炎の神剣(ホノマル)にはまだまだ俺の知らないことがあるみたいだ。

「ユニアはその……剣のフルパワーっていうのかな?本質ってやつ?を見たことあるの?」

 そう言うとユニアはコクリと頷いた。

「私は『炎』以外はまぁ少しだけ」

『炎』は見たことないのか……

 とりあえずこの神剣にはまだ先のステージが存在しているらしい。

 それを使いこなせばブレイブ撃退も夢ではないかもしれない。

「マサキ、とりあえずまずはダンジョンボックスです。時間は有限、やれることは限られています」

 ニーナにそう言われ、つい脱線してしまった線路の上に戻される。

「……」

 お前さっきまでと言ってること違くない?

 言葉にせずそんなことを思うがまだニーナとは知り合って間もない。意見が変わりやすい人間なのかもしれないと頭の片隅にでも置いておこう。

「まぁでも簡単に作れて安全ならそれでいいんじゃないですか?」

 クランが顔をテーブルにつけて脱力感ある体制でそう言った。

「ただ問題は……」

 ユニアが言うとクランも不安そうな顔でこちらを見た。

「この魔王(ひと)の言うことを国民がちゃんと聞き受けるかっていうことですかね?」

 二人のシンクロした声でそんな意見を投げかけられ不安になる。

 そいえばこの国は魔王の国、ゴロツキやヤンキー、モンスターが平和?に暮らす国だ。

 過去にユニアに教えてもらったがこの国は『強い者に従う』という暗黙のルールがあるそうで……

 いざ、自分の体を思い返してみると、小さな身長に痩せてはいないがそこまで筋肉がついていない身体、弱く細い手足、挙句幼い童顔だ。

 お世辞にも『強い者』には見えないな。

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