第5章 2「時間停止の数分感」
時が止まったように感じた。
瞬間……それはきっと数十秒としない間、俺の脳みそは情報処理に追われ、思考を停止していた。
ユニアは今なんと言った?
活動し始めたブレインから飛び出した議題である。
『俺のことが好き』的なことを……そんなニュアンスのことを言っていた気もする。
どうしたらいいのわからずただひたすらに顔を赤くし、俺を見つめるユニアと見つめ合っている。
……マジか……
これが前世界の日本と同じ意味を含んでいるなら勿論オーケーむしろ俺も好きでした。と、言いたい。
こういう時に
『俺も好きだったよ』
とかサッと言ってやれるイケメンに生まれてきたかった。
「えーっとユニアさん?」
「……はい」
俺は頬をポリポリと掻きながら問いを投げかける。
「俺のこと好きって?」
「はい」
改まって身体ごとこちらを向き、真剣な表情をする。
こんな低身長低学力低パワーの三低揃った俺の何がお気に召したのだろうか?
「身分の違い……種族の違いは重々承知しています。でも、それでも……あなたのことを好きになってしまったんです!今まで一度も抱いたことのない恋心を抱いてしまったのです!」
そんな涙目で訴えかけてくるユニアを俺は本能的に抱きしめた。
「ユニア……」
そこで俺は庭園の入り口にいる人の気配に気がついた。バッと振り向くとそこには人……否、鬼がいた。
「あぁぁぁ……」
いかにも気まずい表情をしている飛鬼はこちらから目をそらして頬のあたりをポリポリと掻いていた。
俺とユニアは急いで距離を取り、飛鬼の方を向いた。
「ど、どうして飛鬼さんがここに?」
夜も明けたばかりのこんな早朝に飛鬼はあんなところで何しているのだろう?
そしてどこから見ていたのだろう?
あのまま流れに任せていれば……俺はユニアに告白していた。タイミングを逃してしまった。
「あぁぁ……ミッダさんが戻ってなかったから城で寝てんのかなって……なんかごめん」
気まずそうにそう言う飛鬼に顔を赤くしながらユニアが反論する。
「いえいえいえ、そんなそんな、謝ることなんてないですよ!ねぇ!マサキ様‼︎」
「え、あ、あぁうん。そうね。ないね」
動揺を隠しきれず早口になりながら飛鬼に言い訳を続ける。
「本当にごめんね……」
そう言い残して飛鬼はどこかへ行ってしまった。
「……」
「……」
どうしよう……気まずい。
先程は流れに身を任せようと思っていたのだが、今や話のきっかけを見つけるのに精一杯である。
何を話せばいいのやら……
告白の後、気まずいことがあるっていうのは聞いたことがあったが今は自分の身体にかかった重力が何十倍のように感じる。




