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第4章 48「過去は嘘で偽物で」

「アレ?おかしいですね……」

 無理して流れ出る涙を止めようと目元を擦るがとうとう止まらず諦めた様子だ。

「自分でもわからないんです……」

 先程まで口を開かなかったユニアから発せられる言葉を俺は黙って聞いていた。

「さっきの女性……ニーナとか言いましたっけ?彼女の推測……多分当たってます」

「どういうこと?」

「マサキ様には言ってませんでしたが、私は前魔王エルレ=クセルトスに育てられたんです」

 エルレ=クセルトス……突如姿を消したという俺の一代前の魔王。エルレが親という事実はユニアに聞いたものとは食い違う。俺が聞いたユニアの過去は……ユニアは敵国の兵士の強姦によって出来た子だ。

「でもユニア……」

 俺がその疑問を口にする前にユニアが言葉を発した。

「魔王エルレの時代、最強は魔王そのものでした。武力、魔力、知力、全てが優れた魔王です……彼なら黒を白に塗り替えるくらいの不可能は可能にするでしょう」

 ユニアは自分の髪が忌々しいと言わんばかりに鷲掴みにした。

「ニーナが言っていた実験結果が本当なのだというのなら私は……」

 涙を零しながらも自分の行き着いた結論を俺に話してくれる。

「私は……親と慕っていた男に嘘をつかれ……抱かなくてよかった憎悪を抱いたのです……」

 俺はユニアの話を黙って聞くことしかできなかった。

「私はこんな金の髪の毛いらなかった!」

「……」

 ユニアの怒声に何を言ったらいいかわからない。

「これが無ければ虐められることもなかった!忌子と嫌われることもなかった!混血と言われ後ろ指を指されることもなかった!」

 震えた声で訴えかける。

「この髪が黒ければ……みんなに仲間と受け入れてもらえた……私の辛い記憶が全て解決する……」

 この期に及んでなんの言葉も出てこない。今何か言っても口先だけになってしまうと恐れたから。

「最悪の気分です……エルレという人間に対する憎悪が増えて増えて仕方ないんです」

 そこで俺の中で疑問が生じた。

 エルレがユニアに嘘をつかなければいけなかったのはどうしてなのだろう?

 ニーナが嘘をついているという可能性がなきにしもあらずだが、何の理由も無しに彼女らを否定するのはよくないだろう。

「先代……エルレがさ、ユニアに嘘をついたことには理由があるんじゃない?」

「理由?何があるっていうんですか⁉︎この期に及んで何があっても変わりませんよ……」

 うずくまってユニアが本格的に泣き始めてしまった。俺はそんなユニアの手が自分の手に当たっていることに気がついた。

 ユニアはニーナの予測は合っていると言っていたがその確信を得た判断材料というのは一体何だったのだろう?

 これは単なる俺の勘に過ぎないがエルレがユニアに嘘をついた理由はそんなに良いものではない気がする。

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