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第4章 41「魔王の今と昔」

「はぁ……」

 仕事に行くと言いマサキの元を離れたまでは良かったが、マサキには少し悪いことをしてしまったと思って反省している。

 マサキは魔王の威厳などいつの間にかついていると、そう言った。

 マサキのその言葉に悪意がないことなど百も承知だ。だが、あの時の私は少し冷静さに欠けていた。

 今考えれば悪意がないなどすぐにわかるのに……話を遮られ、あの時はその言葉を先代たちに対する冒涜のように受け取ってしまったのだ。

「はぁ……」

 自分の中で先ほどのことを振り返りをし、またため息を吐いてしまう。

 マサキに嫌われてしまったらどうしよう……

 彼は混血の私や単純に外国人のユウラたちに偏見を持たず、この国の為に世界に目を向けた。

 今までの魔王とは一線を画す特異な考えを持つ現魔王マサキはきっとこの世界を変えることすら出来るだろうと思う。

 それに……それに私は彼に好意を抱いている。この世に生まれ落ちてこの国で過ごしてから一度も抱いたことのない恋心を抱いている。

 あの誰にでも優しくするマサキに私は憧れたのだ。

 可能ならいつまでも……どこまでも一緒に居たい。行きたい。

 あの人が私を好きになってくれたのならどれだけ良いだろうと、思うことがないわけではない。でも、相手はこの国の王だ。私なんか……

 下を向いて暗い考えを展開させていると場内の室内運動場が見えた。

 そこでは飛鬼やミッダ達『首都軍』のメンバーが訓練に勤しんでいる。

 窓枠に膝をつき、手で顔を支えてその光景を眺める。

「はぁ……」

 私にとって前魔王は特別な人間であった。彼は……前魔王エルレ=クセルトスは最強にして最恐、最高最悪の魔王として恐れられた。

 その強さはまさに最強の名に相応しく、鬼神の如く敵を叩くさまは敵としては最恐の敵。

 強さだけを追い求めながらも国のことを考えるその姿は最高の王であり、姿を隠す前一年ほどのあの姿は最悪という文字がお似合いだった。

 あの魔王は私にとっては父親がわりの存在であった。敵兵に捕らわれた母は魔王が助けに行った時には絶命しており、私を抱えた状態で死んでいたようだ。私の魔力を察して、国に連れて帰ったらしい。

 その後、エルレは私を実の子のように育て鍛えてくれた。

 私は彼を尊敬している。同じ国の人間としても、この国の王としても……だからあの時のことは何かの間違いだと……

 そこまで考えていたところで轟音が鼓膜を震わせた。

 首都軍の人たちも手を止めている。

 今の音は……

 私は急いで城を飛び出し、音のした海の方へ駆け出した。

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