第4章 38「世界のことより女子のことを」
ユニアを不機嫌にさせたと感じた俺はこの世界に来てから愛着のローブを着て、深々とフードを被って顔を隠した。
サドルカの剣を腰に身につけ、炎の神剣の首飾りを着用していることを確認してから階段を駆け下りる。
町では大きな発表であるルナラナの件で話は持ちきりらしい。歩いていると口々に色々なことが聞こえる。良いことも悪いことも左から右に流してある一箇所へと歩んだ。
ユニアを怒らせた原因は一体なんだったのだろうか?
俺の脳内はルナラナのことよりこのことで一杯だ。何せ今まで一度たりともあのように不機嫌なユニアは見たことなかったからだ。
着替えをしている間は普通だったし、俺以外の人間に接触はしていないから原因は確実に俺にある。
残念ながらそのような結論にたどり着き、さらに脳を回転させる。
ならばやはり俺が威厳どうのこうの簡単に言ったことが気に食わなかっただろうか?
そんな考えを巡らせているうちに目的地にたどり着いていた。
ドアの目の前に立ち家主の名前を大声で叫ぶ。
「クーラーンー!」
反応はない。
「クラーン!クランさーん!もしもーし?おはざーす!あーさでーすよー!クランセンパーイ!おーい!」
精一杯叫び続けた結果ドアが勢いよく開かれ、ゼェゼェ息を荒くしたクランが出てきた。
「名前連呼しないでください……」
「お願いクラン!相談に乗って!」
相談?と、先ほどまでの焦りをどこか彼方へ飛ばしたクランは快く俺を家へ向かい入れてくれた。洋風な家の一室の座敷に案内され胡座で座る。
「で?相談てのは?私さすがに外国関係はあんまりわかりませんよ」
クランも先ほどの通告鏡を見たようで俺の相談を外国関係と勘違いしているようだ。
「実は……」
と、俺はユニアの機嫌を損ねたことを一通り説明した。
「マサキ様たちケンカするんですね」
呆れるような茶化すような言い方をするクランにため息が出た。
「原因は何なんです?」
「それが……」
恐らく魔王としての方向性の違いというバンドマンのような理由を話すと、クランは少しイタズラな表情をした。
「もうユニアさんのことは諦めて他の女の子に……」
そう言われたところで自分の顔の温度が急上昇していることを実感し即座に否定しにかかる。
「ち、ちが!俺とユニアはそういうんじゃ……」
するとクランは俺を少し火照った顔で覗き込み先ほどより少しボリュームを下げた声を出した。
「マサキ様たちがそう思っていてもこちらから見てたらくっついてるようにしか……」
クランが少し拗ねたようにするのを見て俺はまたどうしたら良いかわからなくなった。




