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第4章 37「方向性の違い」

「お疲れ様でした」

 通告鏡と思われる鏡をいじっていたユニアが声をかけてきたことで完全に終了したことを実感した。

「どう?」

「まず、敬語を使い過ぎです」

 そう言われてみれば俺の言葉は終始敬語だったと思われる。が、それの何がいけないというのだろう?

「魔王なんですからもって堂々としてください。腰が低過ぎです」

 腰が低いと言われれば確かに……

「あとは話があまりまとまってませんでしたね。これなら事前に原稿でも用意しておけば……」

「わかったわかった。その辺にしておいて……そろそろ泣きそう」

 ユニアのダメ出しを遮り、このお説教みたいな時間に終止符を打とうとする。

「はぁ……わかりました。でも、またマサキ様が舐められたりしたら……」

 腰の低さに対する注意は俺への心配から来ていたようですこしだけ嬉しくなる。

「大丈夫だよ。少しくらい舐められてた方が親しみやすい優しい王様って感じで」

 なんでも初めてのときは怖そうな人より、弱そう、優しそうな人に声をかけるような気がする。学校のクラス替えとかのときも初めてのクラスでこう言っては悪いがそういう人に声をかけていた。

「ダメです。マサキ様は魔王なんですから」

 ユニアの言う魔王は最強で無敗とかいう先代の魔王のことだろう。確かに先代さん達は話しやすいタイプの人間ではなさそうだ。

「ユニアは俺に怖い人間になって欲しいの?」

 そう聞くとユニアは首を振って即座に否定する。

「いえ、優しく温厚なのがマサキ様のいいところです。ただ、少しくらい威厳をもってもらいたいだけです」

「威厳なんてこれから魔王として生活してたらいつの間にか付きそう……」

 これからも戦いや苦難が多い波乱万丈な毎日になるだろう。それを乗り越えたら威厳なんていくらでも付いていそうだ。

 俺の発言が気に食わなかったのか頭に手を当て、ため息を吐くユニアは何か諦めたような脱力的な声を出した。

「わかりました、そうですね。それでは私は仕事がありますので、着替えはさっきの部屋で行なってください」

「あぁ、うん、わかった。」

 何かユニアの癇に障ったのか少し不機嫌に見える。ユニアはスタスタとドアへ歩き、部屋から出て行ったと思うと顔だけヒョコッと出して最後に一言。

「城外に出るのであればローブはマサキ様の部屋に置いてありますので」

「りょーかい」

 やはり何か怒っているようだ。いつものような明るい笑顔が見えない。

 この世界に来て一番信頼していた人を怒らせた……このまま疎遠になるのは絶対に嫌だ。

 どうにかして機嫌を直しもらわなければ……

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