第4章 36「国語力とグレムリン」
「一体何を話せばいいっての?」
ルナラナであったことを話す以外何を話せばいいのか全くわからない。
「そうですね、ルナラナでハンヌという最高責任者と会って友好関係になったということと……」
ユニアも何を話したらいいのかあまりよくわかっていないようだ。
すると思いついたようにユニアは話し出した。
「マサキ様はまだ、そんなこの国全土に顔が知れてるといったらそうでもないので自己紹介的な?」
一応闘技会で優勝したはずなのだが……知名度というのも難しいものだ。
「あ、ほら五分前です。そろそろ行きましょう」
そう言われてユニアに案内されたのは鏡室という聞き慣れた響きの部屋だった。
鏡室には羽が生えた小さな生き物がいっぱいいる。
「ユニア、あれは?」
小声で聞くとユニアも俺に合わせて、小声で返してくる。
「あれらはグレムリンという悪魔の一種です」
グレムリン?機械などにイタズラする悪魔みたいなイメージがあったが、見るに通告鏡の準備をしている。
「あ、準備完了?ご苦労様」
耳元でユニアに何かを囁くグレムリン。どうやら準備が終了したらしい。
グレムリンはまじまじと見てみると目がクリクリしていてとても愛くるしい顔をしている。
「これ、お礼のキャンディ」
ユニアは腰につけていた皮袋をグレムリンに渡すとグレムリンはキーキーいいながら喜んでいるように見える。
キャンディで雇われるなんて……なんて可愛いんだ!
「では始めましょう」
ユニアにそう言われ、グレムリンから目を離した。
示唆された場所に座り、背筋を伸ばして顔を引き締める。
「では三、二、一、開始」
急に始まってしまった魔王マサキ生放送、黙り込んで座っているとユニアがオーケーのサインを手で示す。
「はじめまして皆さん。私は闘技会優勝者でこの国の魔王、マサキです」
ユニアとアイコンタクトをとると、ユニアはコクっと頷いた。
「今日は皆さんにお話ししたいことがあります」
話す内容を脳内で構成しながら言葉を紡ぐ。
「えっと、こないだのルナラナという外国からの攻撃で我々の国はとても大きな被害が出ました」
頭の中で考えが詰まりそうになる。悪くなったルナラナのイメージを解消しなければならない。
「それで、そのルナラナからの侵攻が収まったあと私は単独でルナラナに乗り込み、国王ハンヌと対談することが出来ました」
脈絡もないが事実なのだから説明するにはそれしかない。
「ハンヌとの対談の結果、友好的な関係を作ることが出来ました」
とりあえずルナラナでのことはザックリ話たが、まだ締まらない。
「私はこれからも平和のために頑張っていきたいと思います。ので!皆さんの力を貸してくれたら嬉しいです!よろしくお願いします」
深々と頭を下げてからもう一度前を向く。
「今回の報告は以上です。ありがとうございました」




