第4章 33「キツイ帰り」
ユニアたちの元へたどり着くと、異国人であるユアたち三人とハンヌは思いのほか普通に会話をしていて度肝を抜かれた。
「あ、マサキ様。おかえりなさい」
ユニアにただいまと返し、改めてハンヌの方を向く。
「用事とやらは終わったのか?」
「えぇ、まぁ」
頷くハンヌに再びお礼を言う。
「ありがとうございますハンヌさん。あなた方は……」
俺のお礼の言葉を遮ってハンヌが口を開く。
「礼など要らぬ。魔王に戦いの意思がないのに戦う理由などないだろう」
はにかんだ笑顔のハンヌは日本にいた頃の地域の優しいご老人を連想させた。
「では、また機会があれば」
そう言ってハンヌに背を向け、俺はまた黒の大剣の上に乗った。
「国民には私から伝えておく、君らとはもう争わないとな」
「ありがとうございます」
そう言い黒の大剣から炎を出して、また空へと飛び立った。
俺の横を並走するようにホプスと嵐雲が続く。
強体剤のせいで眠たくなることなく、何一つのトラブルもなく、自国にたどり着くことができた。ユニアたちのペースに合わせていたためかかった時間は半日ほど。
着いた時間は夕飯時の夜七時ほどだった。
「めっちゃ疲れた〜」
力が抜けたような声でテニーがそう言った。実際俺も疲れてはいる。それを感じないだけだ。
強体剤は便利なのだが……眠れなくなるし、眠ると使った分の体力が戻ってくるまで寝たきりというのがネックだ。
「はぁ……」
また二日くらいは寝たきりか……という言葉を口から出さないように努力しながら、このまま一日半起きていようと決意する。
「じゃあみんな今日はありがとう」
柄にもなくそんなことを口にした。危険と思われる敵国に助けに来てくれたことはとても嬉しかった。
「いえ、王を助けに行くのは当然ですよ」
微笑みながらユニアはそう言った。他のメンバーも口々にそう言う。
「あ、そうだマサちゃんこのままあと一日ちょっとくらい眠れないんだよね?」
急にそう口にしたのはテニーだった。
「まぁそうだね……」
何か思いやられ少し口調に元気がなくなった。
「でも確か、『気を失わせれば』みたいな感じだよね」
確認するように横にいるユニアを見ている。
「えぇ確か……」
なんだか少し嫌な予感がする。
「マサちゃんが眠れるように一人呼んでおいたんだよね」
前言撤回、とても嫌な予感がする。しかも痛い系統。
俺の中で『気を失わせる』という行為で思いつくのはたった一人。
「ミッダさん、お願いします!」
大声で叫んだテニーに反応して、近くのベンチに座っていた巨漢が立ち上がった。
その男は立ち上がるとすぐに俺の背後に回り……
「え?」
「おやすみ」
そう言われたあと後頭部に衝撃が走り、目の前が暗転した。




