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第4章 32「ブラザーズ」

「誰ですか?」

 片目を擦りながらドアから出てきたのはユウラの弟を公言するジヨだ。

 目の前に立つ俺とユウラを見て唖然としている。

「ゆ、ユウラ兄?」

 信じられないと言わんばかりのジヨにユウラも反応を見せる。

「ジヨ〜!」

 静かなジヨとは逆に熱く迫っていくユウラ。抱きつくほどの距離まで迫ったところでジヨの右の掌がユウラの左頬を直撃した。

「うげぇ〜」

 頬を叩かれてなお、幸せそうな表情でジヨに迫るユウラ。

「あぁもう兄ちゃんは!」

 ウザがっていてもジヨも嬉しそうだ。

 ……幸せそうだ。

 と、心からそう思う。

 俺の家族も……

 心配してるのだろうか、などという疑問を頭を振って払い、再び仲睦まじいユウラブラザーズに目を向ける。

「あぁ失礼?」

 ジヨには言うことがあった。

 俺の発言にこちらに目を向ける兄弟。

「あの時は助かったよ。ありがとうジヨ」

 あの時?と、疑問を持つユウラに対しジヨは少々申し訳なさそうな表情をしている。

「いえ、俺こそマサキくんの言葉を信じられなくて……」

「気にしないでよ。なんと言っても俺は魔王だし、ユウラと早く合わされてよかった」

 俺も嘘をついてすまなかった。という言葉を俺は完全に言い忘れていた。

「そうだ。とりあえず入りなよ」

 そう言い俺とユウラを家に招き入れようとするジヨだが、ユウラがそれを拒んだ。

「ごめんなジヨ、俺はもう一回出かけねぇといけないんだ」

 その発言に少しだけジヨはしょぼんとしてから納得する。

「わかったよ。待ってるね」

「あぁ」

 再会にあまり水は差さまいと少しだけ距離をとっていた俺の方までユウラが歩いてきた。

「ありがとうございます」

 俺の耳元で小さく囁かれたその言葉に、

「どういたしまして」

 と返し、再び黒の大剣の上に乗る。

「あの!マサキくん」

 ユウラを背負いユニアたちの元へ戻ろうと剣から炎を出そうとした時、ジヨに呼び止められた。

「……ありがとう」

 何を言うか迷うような表情を見せてから、しっかりと俺の顔を見てそう言った。

「うん」

 あまり人に感謝されることに慣れていないため、咄嗟に何を言ったらいいかわからず、そんな当たり障りの無いことを口にして俺たちはジヨの元を後にした。

「そいえばジヨとはどこで?」

 俺の背に乗るユウラがそのようなことを口にしたため、およそ二日前の記憶を呼び起こす。

「えーっと、確か路地裏かな」

「路地裏……そうっすか」

 何か引っかかるような言い方をするユウラだが、俺は特にそんなことは気にしないままユニアたちの元へ急いだ。

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