第4章 30「お世話になりました」
ユニアやテニーに今まで起きたこと、まぁ神様の元で過ごしたこと以外なのだが、ちゃんと説明した。
「これでこの国にはもう用は無いな」
ハンヌの言う通り帰宅手段が出来たのであればもう滞在する理由もない。
「そうだ」
と、ユウラの方に向き直る。
「どうするの?」
頭をポリポリ掻きながら何か考えてる様子のユウラ。
俺のどうするという言葉からこの国に残るのかまた戻るのか検討しているようだ。
「そうですね」
俺とハンヌの方をかわりがわりに見てから応えた。
「一度戻ろうと思います」
ハンヌにそう告げたのを見ると一度戻ってくるようだ。
「そうか。わかった」
「すみません。まだ一人置いてきてしまっているんです」
残っているというのはロウネのことだろう。
「俺だけ故郷に帰るわけには……」
「いい心がけだな」
えへへと、少し照れているユウラ。
「じゃあ一旦帰ろうか」
俺の呼びかけに全員が頷いた。
「なら、我が国から迎えの船を使わせよう」
ハンヌの提案に甘えてユウラとロウネはお迎え待ちということになった。
俺とハンヌ以外の全員が部屋からいなくなり、俺もそろそろ出ようと思っていた時
「おい」
と、後ろから声をかけられた。
「はい?」
と、なんとなく応じるが先程までの軽い雰囲気でないことが伺える。
「我が国ルナラナはお主が嘘をついていないと信用したから、和平とまで言わずともまぁ少しだけだが友好的な関係になれたが……」
言いにくそうにハンヌは口は開いた。
「ここから先……お主が本当に全ての国との平和を望んでいるというのであれば、今回のように自ら潜入などという自殺行為はしない方がいいだろうな」
俺を心配してくれてるのだろうか?
「わかりました。ありがとうございます」
「最後に一つ忠告をしといてやる」
ハンヌは一度咳払いしてから今まで見てから一番真剣な表情をした。
「どんな物語にも魔王の勝利は存在せぬ……数多の勇者はいつでもお主の首を狙っている」
魔王の勝利は存在しないか……
他の国からしたら俺は……俺たちは『悪』以外の何者でもないのだろう。
俺の言葉を他の国がハンヌのように信じてくれるとは限らない。
「俺は……」
この夢物語のような目標を完遂するために今一度手を握りしめて覚悟を決する。
「俺は絶対……自分の国を平和にする。そのためには世界と仲良くしないといけない……」
相手が俺の命を狙ってる?当たり前じゃないか、なんて言っても俺は……
「俺は最強の!魔王だ。どんな相手でも負けやしない」
「そうか……ならば私にできるのは健闘を祈ることだけだ」
そう言うとハンヌは右手を差し出した。俺はその手をギュッと両手で握りしめる。
「話せてよかったよ魔王マサキ」
「お世話になりましたハンヌさん」




