第4章 28「一泊」
「で、今日はどうするつもりだ?」
どうするつもり、そう言ってきたハンヌ。俺が自国を旅立ってから二日と半日くらいだろうか?
「そうですね……僕、このまま帰ると途中で海に墜落しちゃうんですよね……」
墜落?と、不思議そうにこちらに問いてくる。
「あ、えーっと」
このようなことを簡単に話していいのだろうか?
まぁでも和平とまで言わなくても敵対せずにいてくれたわけだし、話した方が信頼度は上がるか。
でも、あれは魔王の証というだけあってきっと国家機密とかそういうレベルのお話なのだろう。
俺が悩み続けるのを見かねてハンヌは呆れたような口ぶりで話し出した。
「はぁ、まぁ良い。話したくないことまで無理に聞くつもりは毛頭ない」
少しだけ安心し、そこで一つの提案をされた。
「仕方がない。今日は泊まっていくとよい」
その言葉に少しだけ身を硬ばらせる。
「はは、そこまで怖がらなくてもよかろうに。何もせぬさ」
少しだけ笑顔を見せたハンヌに安堵を覚え、
「では、お言葉に甘えて……」
と、今日はここで一夜を過ごすことになった。
夕食は予想外に歓迎され、たいそう豪華な晩餐だった。
そして案内された自室で無事就寝したのは時計が零時を過ぎた頃だろう。
牢獄のベッドとは違う、高級感あふれるベッドでゆっくりと眠りについていた。
そして早朝、思いもよらない理由から俺は叩き起こされてしまう。
「起きてください。ハンヌ様がお話があると」
「え?」
自室に来たメイドのような女性にそう言われ目を覚ました。
「なんでしゅか、ハンヌさん」
あくび混じりの俺のあいさつだがハンヌは少々イライラしている。
「今、この国の領海に飛行物体が二体現れた」
ほう、と何も考えずに聞いていた。
飛行物体……俺の国に飛べるのなんて俺くらい……
あ!
「まさか……」
「あぁ飛竜が来とる」
嘘だろ。
「はぁその顔だと君は存じていないようだな」
「そいつらは!」
「慌てるな。今はこの国に入れるわけにはいかんからな海の上で飛んで待機しとる」
「ちょ、すみません」
近くにあった大きな窓を開き、黒の大剣を出現させる。
「何するつもりだ?」
「そいつら連れてきます!」
黒の大剣の上に乗り、いつかのように剣を加速させる。
目指すわ水平線。近場の海から見えればラッキーくらいで目指す。
ダメならしらみつぶしに海の周りを飛び回る。
そう決意して先を急ぐ。せっかく良くしてもらったのにこれでは恩を仇で返すそのものだ。
恐らく二日経っても帰らない俺を見て心配したのだろう。二日経って戻らないときのプランも話し合うんだった。
心底そう思い、海を目指した。




