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第4章 26「剣の返還」

 まさか阿呆とまで言われるとは。

「護衛一人つけない王が敵対してる国に飛び込んでくるなど、それ以外の何者でもないであろう」

「護衛をつけて戦いに来たと間違われる方が嫌だったからな」

 ハンヌは足を組み直し、少し顔を近づけてきた。

「ならば聞こう。君がこの国に来て一人も殺さなかったのはなぜだ?」

 なぜ?とだけ聞かれればそれこそ敵対したくはなかったかからなどだが……

「君が潜入してきたこの国は先刻、君の国に攻め入った国なのだぞ?」

 ハンヌの問いに少しだけ時間をとって考え、口を開く。

「俺はアンタらと敵対するわけにはいかなかったから」

「なぜだ?」

「友達のため」

 するとハンヌは顔を引いて先ほどの位置まで戻った。

「俺はこの間のアンタらの襲撃の時に何人かを捕虜とした。あ、彼らに酷いことはしていないから安心してくれ。で、この国に帰すって俺は約束したんだ」

「約束か」

 そうだ、ユウラやロウネ、シャグルーに殺された人達のためにも俺は引き下がるわけにはいかない。

「頼む‼︎」

 俺はイスから立ち上がると、その横に跪き、ハンヌに頭を下げた。

「敵国で頭を下げるとは、王としてのプライドもないのか?」

「アンタがどう思ってるかは知らないが俺はアンタらのことを敵とは思っていない」

 なるほどと、立ち上がり足音からして俺の前に立ったようだ。

 ここから蹴られようと踏まれようと動くつもりは一切ない。

「君の努力は素晴らしいが、和平は結べぬ」

「な、」

 なんで、と続ける前にハンヌは口を開いた。

「話は最後まで聞かぬか阿呆」

 そう言われて口を噤んだ。

「最初から言っていたはずだ。和平は結ばぬとな。だが、敵対するなど一言も申しておらぬ」

「へ?」

 素っ頓狂な声だけが部屋に響いた。

「君の国にはもう攻撃はせぬし、まぁできる限りの協力はしてやろう」

「やったー!」

 土下座の状況から飛んで喜び、ハンヌに向かい合ってお礼を言う。

「ありがとうございます。本当に!」

 するとハンヌは指をパチンと鳴らし、周りにいた一人の男に何かを運ばせた。

「これを返そう。戦う気は無いらしいからな」

 その男が運んできたのは奪われていた俺の炎の神剣の首飾りと鞘に収まったサドルカの剣だった。

「しかし不思議なものだな」

「何がです?」

「君は……マサキと言ったか。もう一本剣を持っているのだろう?」

 そう言われてハッとした。そいえばアルムスの剣は持ってるんだった。

「あの剣があれば脅して屈服させるくらい容易だったろうに」

 まぁ確かに出来たかもしれないがアルムスの存在自体忘れていた。

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