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第4章 25「君は阿呆だ」

 ハンヌは一度咳払いしてから再び話しはじめた。

「すまない。それで君の目的は我々と和平を結ぶことと言っていたね?」

 無言で首を縦に振る。

「そうか……君が嘘をついていないことはエリック、あぁ君に質問責めしていた男の名だよ。彼から聞いている」

「そうですか」

 やはり先程エリックという男が確認していたのは嘘発見器か何かだったようだ。

「申し訳ないが現状、君の申し出は受け入れがたい」

「え、どうしてです?」

 ハンヌは足を組んで淡々と話しはじめた。

「君の国が他の国…いや、世界と少々敵対した関係にあるのは知っているね?」

「そりゃあ、もちろん」

「今、君たちを受け入れてしまってはこの国の立場も危うい。それに……」

「でも!」

「話は最後まで聞きたまえ」

 俺の反論を受け入れずハンヌが再び口を開く。

「それに君たちを受け入れたところでこの国に利益などないのだよ」

 利益?この人はそれだけの理由で俺たちを見捨てるというのか?

「わかった。和平とまでは言わない。代わりに敵対するのだけはやめて欲しい」

 俺の提案をハンヌはフッと鼻で笑った。

「すぐに代替案を考えたことは褒めよう。しかし、安易だ」

「え?」

「最初の申し出を取り下げられて、それの妥協案で手を打とうとしている」

 確かにその通りではあるが、他に手なんて

「なぜそこまで我々と敵対したくないのだ?」

 うつ向けていた顔をハンヌにまっすぐ向ける。

「先代の魔王たちは実に好戦的。自らの力で世界を相手にできると信じて疑わなかった」

「……」

「なぜだ?」

 考えがまとまらない。平和は良いことだ、戦わないに越したことはない。

 そんなことを言えばまた安易と言われるだろうか?

 それにユウラたちのこともある。俺は彼らに故郷に返すと約束した。

「俺と先代たちは関係ない……」

 おぼつかない言葉を文として紡ぎ、声にする。

「俺がここにいるのはこの世界をもっと知りたいから……あとは約束とか色々」

「ほう?」

「力だけで全てを解決できるほど、俺はきっと先代より強くない。精神的にも肉体的にも」

 俺の言葉にあまり口を挟まずにハンヌは聞いている。

「俺には知恵が必要だ。味方が必要だ。アンタは俺たちとそんなに戦いたいのか?」

「ぬ?」

「お前は俺たちに味方はできないと言った。俺たちの味方につけないなら何故……」

 そう。なぜか、なぜか俺は……

「なぜ俺を殺さなかった!」

「ッハ。そんなことか鼠一匹殺すくらい造作もないが、少々興味が湧いたのだよ」

 興味?と聞き返す前にハンヌ自身が答えた。

「敵国に単独で侵入し、誰も殺さず敵陣ど真ん中に飛び込む阿呆のことがな」

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