第4章 10「長旅」
「んじゃ行ってくる」
時刻は深夜二時、良い子たちは寝息を立て、幽霊たちが動きやすいと言われている丑三つ時。俺は未だ幽霊などの類のモノに出会ったことがないため幽霊は信じていない。
なぜこんな時間に出かけるのかというと今から向かうのだ『ルナラナ』に。
リュックには簡易な食料や水を詰め黒の大剣の上に立っている。
「お気をつけて」
両手を胸の前に組み祈るようなポーズをとるユニア。
「そんな心配しないで」
「ヤバイと思ったらサドルカでもアルムスでもなんでも使って帰ってきてね」
「わかってるよ。ありがとうテニー」
剣の炎で宙に浮かせ、どんどん高度を上げていく。
下で見ているユニアやテニー、飛鬼達に手を振って、前方に加速する。
遡ること一ヶ月前、ユウラ達とルナラナに侵入する計画を企て結局俺一人で侵入することに決定した。
ユウラやロウネが一緒に行くという話もあったが、それは一応却下した。
別に彼らを信用していないわけではないが俺のいない間に守りが薄くなるのは怖い。なんて言ってもユウラは神剣使いだし、それに黒の大剣は元々一人乗りである。
そのような理由から一緒に行くことは却下した。
夜はとても寒く、向かい風もあるため寒さが増している。それでもアルムスの剣で壁を作りなんとなく凌いでいる。炎が出ている部分に手を当てて見るも、黒の大剣の炎は俺に一切の効力を持たない。
まぁだから持てるのだが…
まさかこんな形で仇になるとは
程なくして炎の街頭で照らされた国は見えなくなった。
海に出ると明かりなんてアルムスの剣と黒の大剣の炎くらいのものだ。
ユウラ曰く、俺たちの国に着くまで七時間弱かかったらしく、俺の速度なら恐らく四、五時間と言ったとこだろうとのこと。
心配なことと言えば体力面だ。
この剣から出る炎は俺の体力を消費し、放出されている。闘技会などで一試合フルで戦って体力切れ寸前だった俺が、四時間も剣から炎を出し続けられるかといえば無理な話だ。
ので、ユニアからアイテムを二つもらった。
一つは後日の体力を前借りして使うことができる『強体剤』前世界のエナジードリンクの超強化版みたいなものだ。効力は四十八時間でオーバーした分の体力を取り返すため、効果時間後は取り返すまで寝たきりらしい。
二つ目は『超強化ドリンク』一時間ほど自分の身体の限界値を底上げする。
試しに一度使ってみたが、使ってる間は身体がつったときのように痛い。
強体剤はもう使用中だが、超強化ドリンクはできるだけ使いたくない。




