第1章 10「On the bed」
魔王になって3日目の早朝。
朝起きようとすると人の温もりを感じた。
「お?」
手を伸ばしてみると何か柔らかいものにぶつかった。
何という確信はないが、だいたい予想がついた。
「本当に…申し訳ございません。決してわざとではないんです」
何か言われる前に一応謝っておいた。
「気にしないでください。勝手に入ったのは私ですし」
そう言った女の子は服を着ておらず、長い黒髪には寝ぐせがついていた。
「と、とりあえず服を着てください…目のやり場に困るんで…」
そう言うと女の子は
「いいんですよ…好きなようにして…」
その発言にドキンとした。
「いやいやいや…でも、しゃ、社会的にといいますか、何といいますか…」
女の子の発言に動揺していて上手く言葉が出てこなかった。
その間にも女の子は距離をつめてくる。
「…やっぱり、可愛い顔してますね!」
「っな!」
女の子の意外な言葉に驚いた。
「マサキ様、朝ですよ!起きて、くだ…さ…い…?」
ユニアが思い切りドアを開けて入ってきた。
女の子の顔は今、目と鼻の先にある。
「し、失礼しました…ごゆっくり…」
そう言ってユニアはドアを閉めた。
「ちょ、ちょっと待ってー‼︎」
完全に誤解を招いてしまった。
そう思って部屋から飛び出しユニアを捕まえて部屋に戻った。
「ご、誤解なんだよ」
「何が誤解ですか?一糸纏わぬ女の子とベッドの上で一体何をしようとしていたのですか?」
「何もなかったよ本当に…」
そう弁解しているとユニアは女の子の方に目をやり
「あなたは一体なぜマサキ様とベッドにいたんですか?」
そう言われると女の子は少し困ったような顔をして
「うーん…子孫繁栄かな?」
と言った
「ちょ、ちょっと…」
ユニアからの目線が痛い
「本当に本当に何にもなかったんだって何もしてないから…ね?」
そう言ってもなおユニアからは蔑みの目で見られる。
「魔王様は童貞なの?」
急に女の子がそう言った。
「そうだよ悪いですか?十代だよ十代‼︎そんな、童貞に決まってるだろ?…服着てください」
女の子は未だ服を着ない状態で話し続けていた。
「女子の初体験は需要ありますけど男子の童貞なんてそんな需要があるもんじゃないですよ?」
その言葉でガラスのハートが砕け散った音がした。
「そういうそっちはどうなんだよ!えーっとその…そういうのしたことあんのかよ」
「ぇえ⁉︎セークーハーラー」
心底腹が立つ。
「んだと‼︎」
しかし何も言い返すことができない。
すると今まで口を閉じていたユニアが
「まぁマサキ様、とりあえずマサキ様が何もしてないことは伝わりました」
「そうかそうか…ありがとう」
何か目から出てきそうだ。
俺とユニアがそんな会話をしてるうちに女の子は長い黒髪を後ろでまとめ、服を着ていた。
「っあ、そうだ私の名前はテニー。これからよろしくね魔王様」
「何がよろしくかよくわかんないけど…まぁうん、よろしく」
そう言うとテニーはこの部屋から去って行った。
「まぁ何はともあれひと段落して良かったですね」
「そうだね」
そんな何気ない会話をしていると急にドアが開きテニーが戻ってきた
「ごめんね本当はあげようと思ってたんだけどスースーするからやっぱり返してね」
そう言って俺のズボンのポケットに手を入れると女物のパンツを取っていった。
またユニアからの視線が痛い。
「…ま、マサキ様?」
「ち、違うって俺は何も知らないから」
「それじゃあ、またねぇ」
「ちょ、待って誤解を解くの手伝って」
俺の話を聞かずテニーはまた去って行った。
「マサキ様?」
そう俺を呼ぶユニアの声は少し怒っているように感じられる。
「すみません。本当に知らないんです。まだちゃんと童貞なんです」
涙ながらにそう弁解した。
「マサキ様の童貞情報はどうでもいいです。…はぁ確かにマサキ様はそんなことする人間じゃないですよね。まぁいいです。朝食にしましょう」
よくわからないが多分許して貰えたのだと思う。
そう考えながら食堂へ歩いた。




