第4章 5「神の剣を使ってみよう」
「落ち着きましたか?」
俺を抱きしめていたユニアが頭の上から尋ねてくる。
俺が無言で頷くと
「そうですか」
と、安堵の表情を見せた。
「さ、これからどうする?」
怒りが冷めた様子のテニーからの質問に少々考えてから自然に腹が鳴った。
「ごはんにしますか」
テニーが笑い混じりにそう言い、食堂の方へ向かった。
食欲は無かったが身体は困るくらいに正直だ。あのタイミングで腹を鳴らすなど、自分で腹の音をコントロールできれば絶対にしないだろう。
しかし、丸一日以上食べていなかったため久しぶりの食事はとても美味しかった。
エルフのシャグルー事件の後の割に周りの人々は驚くほど日常だ。まるで昨日までと何も変わらないように。
その後、俺とユニアは庭園にテニーは仕事があるらしくそちらへ向かった。
「何するつもりですか?」
とりあえず庭園に行きたいとしか伝えていないため困惑しているみたいだ。
「実験だよ実験」
俺が右手にサドルカの剣を抜くとユニアは少しビクッとした。
「大丈夫だよ」
剣は引き抜かれると禍々しいオーラを纏う。
「なんだかとても禍々しいですね」
しゃがんでまじまじとサドルカの剣を見てそんな感想を残すユニア。
「そうだね」
そのオーラは俺の右肩までを飲み込む。
「大丈夫なんですか?」
「ま、まぁね」
間近に迫るそのオーラを見て少しだけ焦る。実際引き抜いてみるのは初めてだが、ルーナの時はこんなことにはなっていなかった。制御が出来ていないということなのだろうか。
このオーラに飲み込まれたらまたシャグルー化してしまう可能性もゼロではない。
「ちょっと試してみたかったんだ」
サドルカの剣のオーラはアルムスの剣に完封されてしまう。
俺は左手の人差し指で小さな光の剣を出現させ右手首に当たるとサドルカの剣のオーラは右手首までに留まり、侵食をやめた。
「ふぅ…」
安堵のため息を吐くとユニアはキラキラした眼差しでこちらを見ている。
「すごいです!マサキ様‼︎これで二本とも使い放題ですね」
「まぁそうなんだけど…」
アルムスの剣は使ったことがあるためなんとなくわかるが、
「サドルカの剣って」
どうやって使うんだろう…
「とりあえず振ってみたらどうです?」
「そうだね」
剣を構え、誰いない方向に振る。
「よっと」
瞬間、目の前に黒い亀裂が空間に入りパッカリ開いたと思ったら、とてつもない吸引力で周りにあるものを吸い込み始めた。
「え?」
一瞬、唖然とした俺とユニアだがすぐに事の重大さに気がつきとりあえず走って出入り口まで逃げた。




