第4章 3「自分が自分がなさけない」
ここまで心が折れたのはいつぶりだろう…
前世界の記憶にはそんなに折れた覚えはない。失敗ばかりの日々ではあったがこんなことは一度もなかった。
昨日は黒の大剣片手につい暴れてしまった。そんな部屋の中にいつの間にかユニアとテニーがいる。
体力を使い果たした俺は無様に床に転がっている。
「マサキ様」
背中をユニアにグラグラ揺らされ、なんとなく返事をする。
「なんですか?」
「ふぅ」
無愛想な返事にユニアとテニーは安堵したかのように息を吐いた。
「何かご用ですか?」
床に顔をつけているため二人の顔は見えない。まぁでもなんとなく予想がつかないわけでもない。きっと心配して来てくれたのだろう。
自意識過剰だろうか?
「大丈夫ですか?ごはんは?」
「大丈夫です。ごはんは食べる気がしませんので大丈夫です」
「そうですか。ていうか今日はどうして敬語なんですか?」
「特に理由などないよ」
ユニアはため息をつき、立ち上がろうと膝に手を当てている。
テニーは何も言わずにまだしゃがんでいる。
「あ」
俺の声にユニア達も返事を返す。
「部屋、ボロボロにしてごめんね…」
謝らないといけないことは他にも沢山ある。でも、今は自分がした一つ一つのことを謝りたい。
「そんな別に…」
ユニアならきっと許してくれる。
そうわかっていた。甘えてしまったのだ。ユニアの優しさに…最低だ。
「ック…」
歯を強く噛み締め、手を握りしめる。
悔しい…
何もできない無力な自分が、後先のことを考えずに行動した無能な自分が。
「俺は…俺は…」
どうしたら、何を言ったらいいのかわからず意味もなく一人称を口にする。
「大丈夫ですよ」
そう言って頭を優しく撫でてくれるユニア。ユニアは優しい。だからこそ、どうしたらいいかわからなくなる。
「ユニア…俺は…わかんなくなっちゃったんだ。何が正しくて何が悪いのか…」
「マサキ様のしたことは正しいことです。あなたはこの国を救ったのですよ?あのまま国中の人がシャグルー化していたら、それこそ終わりですよ」
「でも、誰かを救うために蔑ろにした命があるんだ」
その言葉に言葉が出ないユニアの代わりに今まで隣でしゃがんでいただけのテニーが口を開く。
「で?」
俺は何を聞かれているのかわからなかったたて黙っていると、さらに続ける。
「だから何?」
テニーの言葉から伝わってくるのは怒りのみ。それ以外のことはわからない。
「あんたの行動は正しいってずっと言ってるでしょ!何が不満なの?誰も傷つかない結果が待ってるとでも思ったの?無理に決まってるそんなの!」
テニーの言葉を俺は黙って聞くことしかできなかった。




