第4章 1「絶望と罪悪感」
目を覚ますと空は真っ赤に染まり、俺の顔の上にはキレイな顔をした女性がいた。
一瞬、自分の現在地を考えてハッとする。頭の後ろの柔らかい感触、なんというかこれは…膝枕ってやつだと気づき飛び起きる。
「起きたんですね、マサキさッンガ!」
俺が起きたことに気づいたユニアと頭をぶつけお互い頭を抱える。
無様に地面に転がった俺はユニアの方に向き直る。
「ごめん、ユニア大丈夫?」
「えぇ私はなんとも」
「起きて早々騒がしいな」
その声は聞くのは実に半日ぶりくらいだろうか…いやそれ以上か、鬼の飛鬼だ。
「飛鬼さん…あれ?ドゥラルートは?」
「あぁそれなら…」
ユニアの話ではドゥラルートはエルフ族の統率やら魔王に対する忠誠やらなんやらでさっさと里へ帰ったそうだ。
「にしてもマサキ、元に戻ったのか?」
「戻る?ってのは一体?」
言ってる意味がよくわからない俺に飛鬼は言った。
「なんか昨日のお前はちょっと怖かったからな…」
少し複雑な表情をする目の前の鬼を見て大体を察する。
そいえば俺は、エルフもシャグルー化した人も殺してしまったんだっけ…
「大丈夫ですよ!マサキ様‼︎」
「ユニア…でも俺は」
「あなたは殺してしまった人の何百何千倍という人を救ったのですよ?自信を持ってください。あなたはこの国の英雄です」
英雄…
違う…そんなんじゃない。
殺して当たり前だと思ったんだ。
シャグルーは…エルフは敵だって…死んで当然だって…
「そんな顔…なさらないでください」
「無理だよ…ごめん」
罪悪感に苛まれ、俺はその場から走り去った。
「マサキ様!」
「マサキ!」
二人の声が聞こえてもまるで何も聞こえていないかのように走った。
走って、走って、息が切れて、苦しくて、頭が回らなくなって、吐きそうになって…
色んな思いが支配を目論む中で罪悪感がそいつら全員を跳ね除け俺の思考を支配した。
「ああああぁぁぁぁ!!!!」
なんで…なんで殺しちゃったんだよ…
侵攻された時だって殺さないように努力した。
初めて『影の獣』が出て来た時も敵を殺さなかった。
他の『影』の時だってそうだ。
俺が俺じゃないようだ。
まるで何か違う自分に侵略されたようなそんな気持ち。
シャグルーから人に戻ってからか?
『人』の気持ちを考えなくなったのは…
「死ねよ俺みたいなクズ…」
この世界に来て初めて自分を卑下した。
前の世界ではよくやっていたことだ。今更だろう。
この世界に来て、変われると思ったんだ。
強くて優しい、人の笑顔を大事にする英雄みたいな人になってやるって…
「クズはどこに行ってもクズか…はは」
蔑み、荒んでいたはずなのにいつの間にか俺は…笑っていた。




