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第3章 39「神の剣を持つ者」

「ドゥラルートさん」

 自分たちと先程まで敵対していた男のエルフの名を私は口にした。

「なんだ?」

 少しだけ強張った声で男は応えた。

「いえ、あの…なんでこんなことを?」

「こんなこと…あぁ」

 私の質問に少しだけ考えてから、ドゥラルートは話し始めた。

「なぁに、愛娘が始めたことだからな、それに最初は娘の意見に賛成だったが、そこ…お前の膝の上で寝息をたてている男と剣を交えて意見が変わった」

「愛娘ですか…」

 その愛娘は町や色んなところで多くの人を『影』…改めシャグルーに変えた脅威の存在『黒いローブ』を羽織った少女、ルーナだ。

「でも、よくマサキ様に力を貸す気になりましたね。幾ら意見が変わったと言えど」

「む?あぁ、そうだな…いくつか理由はあるが一番大きいのは、私はサドルカの剣を持てる者を二人しか知らなかった」

 するとドゥラルートは人差し指を出し、

「一人目は我が娘、ルーナ」

 次に中指を出し、

「そして、前魔王エルレ=クセルトス」

 そこで終わりかと思うと、ドュラルートは薬指を出し、

「だが、まだ一人いた。そこの魔王マサキだよ」

 アルムスの剣が持てないという伝説は認知していたがサドルカの剣もその類だったのだろうか?

 私の疑問を知ってたかのようにドゥラルートはそのことに対する解説をよこした。

「サドルカの剣は闇の力が巨大な故、サドルカ神と一番近しい存在であったエルフですら持てるものはルーナだけだった。前魔王は魔族であったが、魔力も闇の力も巨大でありサドルカの剣を持てていた。だが、」

 そう言ってドゥラルートの視線はマサキの元へ

「やつは魔力はゼロだし、筋力なんて全くと言っていいほどに無い。何故、彼がサドルカの剣を持っても平気なのか考えていた」

 その言葉につい息を飲む。

「その男には魔力がない。が、この国の人やエルフ、鬼に獣人、魔族なんかは魔力が血とともに身体中を循環している」

 それは昔、授業でも聞いたことのある内容だった。身体の血には魔力が含まれ、身体中を循環することによって魔法の発動が可能になるのだとか

「そこの魔王は魔力がないが故に血液内に魔力ではなく、闇の力が循環しているのだよ」

 マサキ様の身体の中に闇の力が?

「こやつ、確か一度ルーナに刺されているだろう?」

 その話はミッダから聞いている。

 なんでも刺されてシャグルー化してしまったのだとか…

「その時、身体に闇の力が流れ込んで血液が取り入れたのだと推測している。なぁ金髪の…」

「ユニアです」

「そうか、ユニア。これはこの国の人間ではありえないことだ。なぜなら魔力の流れる身体では闇の力は取り込まれることなく、外側に獣の形を作るから」

 生唾を飲み、ドュラルートの話を聞く。

「魔族やエルフの一部では魔力と共に闇の力が流れる。それは最早体質であり、受け継がれた遺伝子だ」

 ドュラルートは一瞬間を空けてから口を開く。

「その男の闇の力は魔族やエルフとは一線を画す存在だ。その魔王マサキとは一体何者なんだ?」


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