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第3章 36「俺を殺せと言う者が」

「まだ戦うの?」

 俺の質問にドゥラルートは一瞬、迷うように目を動かしてから口を開いた。

「あぁ…貴様は息子達の仇だからな」

「そうか」

 最早俺に戦意などない。傷だらけの男をこれ以上どうこうしようとは思わない。

 ドゥラルートは持っていた剣でゆっくりと立ち上がり、剣を構えた。

「行くぞ…魔王よ」

 彼のまっすぐな眼差しには圧倒的な敵意と少しの諦めが見て取れた。

「これじゃ失礼だな」

 俺は構えようとしていた指を引っ込め、剣を握るような手の形を作る。そこにどんどんと小さな光の剣が集まって行き、やがて一つの剣となった。

 その剣は大剣というほどの大きさではないが刃から柄の部分まで炯々と光り輝いている。

「うおおおおぉぉぉ!」

 ドゥラルートの気合の入った一太刀に光の剣をぶつけて勢いを殺す。

 お互いもう一度剣をぶつけ直してから距離を取り、間髪入れずに突撃する。

 今度はこちらから相手に剣をぶつけようと走るが、なんだか相手の様子がおかしい。

 剣をぶつけてから俺はその違和感に気づいた。

 なんかブツブツ呟いてる。……マズイ!

 そう考え一度距離を取り、地面から光の壁を出現させると壁の向こう側で爆発音が聞こえた。

 魔法なんてズルイ!

 と、言うにもこれは立派な殺し合い。相手からしたら神の剣を使っているこちらの方がズルというものだろう。

 アルムスの剣は黒の大剣こと炎の神剣とそこまで大差があるわけではない。ほぼイメージが反映される。

 一つ違うのは全ての光の剣に俺の意思が付きまとっている。

 俺は自分の脳ミソをフル回転させ、小さな光の剣を動かす。それと同時に光の壁から飛び出し、三度剣を構える。

 俺の下からの斬り上げを見事に受けきるドゥラルート。しかし、俺にはまだ無数の剣がある。

 一筋の流れ星のような光がドゥラルートと俺の剣に直撃する。

 瞬間、ドゥラルートの剣は真っ二つに折れた。

「貴様…」

「もう終わりだ」

 俺は自分の剣が儚く散っていくのを眺めてからドゥラルートの方を向く。

「俺の勝ちだ。早く故郷に帰れ」

 その言葉にとてつもなく顔を歪ませるドゥラルート。

「ふざけるな…貴様のようなものにこの闇の力が!」

 ドゥラルートは再び襲いかかろうとするが、指一本…いや剣一本でその攻撃を停止させる。

「闇じゃ光には勝てないよ」

 その言葉に今度こそ戦意を喪失したドュラルートはグッタリとしてから俺に背を向けて、その場に座り込んだ。

「殺せ…」

 そう言うドゥラルートには目もくれず、俺は一人の女性に近づいた。

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