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プロローグ
彼女との約束を守らなければ…
その一心でまた剣を握る。
しかし相手との力の差は歴然、とても決定的な一打を与えられるとは思えない。
「負けてらんねぇ…」
口の中はすでに血の味しかしない。
身体中の切り傷が少し疼く。
わざと致命傷を避け、痛ぶっているのだろう。
頭がぼーっとする。身体中が痛い。今すぐ倒れてしまいたい。
「ああああ!」
震える身体を従えるため大声を上げて気合を入れる。
「魔王は無敵じゃないといけないんだ」
そういってまた勝ち目の無い闘いに挑むため剣を構えた。