10/17
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その日、久しぶりに
映画「愛の逆立ち」をみた。
3本千円きっかりの名画座で、
ほかの2本は、
「猫の物語」と
「その後の、帰って来た猫の物語」
だったので、
「愛の逆立ち」だけ2度観た。
肩をすぼめて映画館をあとにして、
映画館の真裏の小さな公園を歩いた。
風にはためく映画のポスターの裏に
雨で滲んでところどころかすれ文字で
詩のような文章が書かれていた。
ポスターをビリビリと剥がして
手に取って、読んでみた。
鏡の、
私の瞳に映る自分が一番
美しい妄想が冷たい
その夜の化粧箱にはマスコットがなく
人生の転換期がある
虫の声?
凍える公園のブランコ
上に冷凍みかん
「寒くって?」
私は、ゆっくりと溶けてゆき、死んでいく
時間の流れは黒い暴風
飲み込む運命の味に酔おう
罪を握りしめ過ぎて後悔の酒を浴びる
散り散りに乱れた希望の星の光を
かき集めて大きな帽子を作ろう
悲しみの、
貯まった瞳を
そのつばで隠すために
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そういえばあのとき
あの公園で聴こえた虫の声は
なんだったんだろう




