類は色んなものを呼ぶ
“類は色んなものを呼ぶ”
これは、僕の家で受け継がれてきた考えだ。
でも、僕にはあまりよくわからない。
ー ー ー ー ー
なんと言い表せばいいんだろう。
彼女を見た瞬間、雷に打たれたような感覚が僕を襲ったんだ。
いや、実際に雷に打たれたことはもちろんないんだけど。
「何を読んでいるんですか?」
気づいたら、ベンチに腰かけて本を読むその子に話しかけていた。
もちろん、彼女と話したことはない。
彼女はゆっくりと顔を上げ、じっと僕の方を見つめた。
どんどん心拍数が加速していくのがわかって、あわてて目をそらした。
「どなた?」
「いや、知り合いではないですけど……」
「それはわかってる。私、あなたぐらいの年の知り合いなんていないもん。」
「そうなんですか。」
「友達もゼロよ。そんな私に話しかけるなんて、あなたちょっと変わってるね。」
ふぅん…世間はこんな魅力的な人を放っておくのか。
ちょっとひねくれてはいそうだけど、やっぱりもう少し話してみたい。
「変わってますかね?」
「敬語なんて使わなくていいよ。ぼっちに話しかけるなんてナンセンスね。友達いないの?」
「愛と勇気だけが友達のヒーローなんで。」
「あ、ごめん。結構センスあるね。」
彼女はふふっと微笑んだ。
その表情にまた、ドキッとする。
会ったばかりで、話すのも初めて。
そんな相手に言うことではない。
でも、もう、どうなってもいいや、と思った。
とにかく、言いたかった。
「そろそろ、恋人の愛も欲しいところだな。」
「……何が言いたいの?」
「君に一目惚れしたんだ。」
馬鹿げたことを言ってしまったもんだと、自分でも思う。
でも、彼女は微笑んでくれた。
「類は友を呼ぶって言うしね。私とあなたはすごく似てる。」
「どういうところかな。」
「同じタイミングで、お互いに一目惚れするようなところよ。」
“類は色んなものを呼ぶ”
「確かにそうなのかもしれないな。」
呟くと、隣に座る愛しい恋人が、不思議そうに首を傾げた。
ちょこっと引用してます。