スペシャル
ルーメンは、修道服が気に入ったようで、仕立て直して、カバンの中に、同じ服を複数もって出てくる。新しい街に移動する為の荷造りだ。
俺の活躍により、街には平和が訪れた。町の人たちは、俺を[神]と認めて厚遇してくれた。村の娘さんも紹介してもらって、ここに、ずっといても良いかなと思ったが、ルーメンがそれを許さなかった。
「ノン、マスターは私のマスターです。私の認めた雌以外で鼻を伸ばしてはいけません」
「お前は、俺のかーちゃんかよ」
「イエス、監督者です。それでは、今回討伐にあたって本部より、報酬が送られてきています」
「おー!ついに俺の実力を認めやがったか。で、いくらなの?」
「イエス、500Gです」
「へっ!」
「イエス、500Gです」
「嘘でしょ?」
「ノン、500Gです」
「俺もゲヘナカンパニー(株)に入ろうかな?」
「ノン、ただし神具を賜っています」
「神具?」
宝石が入った腕輪の様なモノを渡された。装備した途端に、腕の中に消えていった。
「イエス、それは【レヒオン・リング】というもので、収納と召喚が可能になります。マスターは、錬成により従者を作成できます。それらを次元の狭間に凍結、召喚を可能にできます。任意のタイミングで、装備展開がでいます。マスター行軍の手助けと、アイテム収納に便利ですよ」
「おお、アイテムボックスみたいなもんか。最高じゃねーか」
「イエス、最後にTPも追加させています。これは、エルちゃんの計らいです。キリキリ働いてくださいね」
「うっ!」
町の人たちから、惜しまれながら、馬車を用意してもらった。王都へは、1時間半くらいで着くので、その間に、少しスキルを整えてみようかな。
TP130,000pt
<錬成術>
【武具錬成】100,000pt⇒武器・防具を作成する為の[魔核]作成。
武器の基本形は、鉄のナイフ。
防具の基本形は、鉄の盾消。
【武具錬成・素材変更】5,000pt⇒武器・防具の素材変更。
【武具錬成・特徴変更】5,000pt⇒武器の形状、防具の形状の変更。
<紋章術>
【颶風の紋章】10,000pt⇒風属性の強化
TP10,000pt
【斬撃武器錬成】
レンジ:40cm
素材:鉄
タイプ:斧(片刃)
その他:[颶風の紋章][紅蓮の紋章]
武器錬成の魔核を、廃材の鉄に溶け込ませた。丁度王都に着く頃には武器が出来ているだろう。
「イエス、マスター私もこのように作成されたのですね」
目の前に座るルーメンが、そうつぶやく。人を造りし禁忌の力。しかし、俺は思う。マナダイトでなければ、ここまでの意思は持てない。それは、彼女自身の人格だ。俺が作ったわけでは無い。[無名]では、名を求めたり、主に文句をいう事もできない。それを人と言っていいのか?ましてや、鉄屑から作られるこの武器が、ルーメンと一緒のはずはない。
「過程は同じかもしれないが、お前は俺の『特別』だ」
窓の外を見てそのつぶやきに、呟きで返す。彼女がどんな表情をしていたのか、定かではないが、表情が変わった事は分かった。表情を変える事が出来る。それは、ただのモノではない証拠だ。