ルーメン
あれから5日経過した。結構グロかったが、死骸が変形していき、徐々に人の姿を取るようになってきた。
そして、ついに6日目の朝が訪れる。木製の長椅子の上で寝ていると、何者かが、体を揺らしてくる。
『マ……スター、マスター』
「ぬっ!」
美少女だった。とんでもない美少女だった。俺の理想を形にした様な美少女だった。しかも、全裸だよ。いろんな所が見えてるよ。胸が大きく、くびれがはっきりしている。肌は陶器のように白く、銀髪の無造作エアウェーブ。透き通った青い瞳は、すべてを見透かすようであった。
「イエス、マスターカムイ。おはようございます」
「おっ、おう――って、服を着なさい!」
「イエス、マスターカムイ。了解しました。」
部屋の奥にあった修道服を着る事にしたらしい。少し小さかったらしく、胸元があいており、黒のタイツに、革のブーツ。動き易いように、スカートを太ももが見える感じに、引きちぎっている。
「イエス、マスターカムイ。どうでしょう?」
見た目は、かなり美人なのに、どこか子供っぽく首をかしげる彼女。最高です。
「うっ!うん。いいよ。いいよ。まあ、これでも使ってくれ」
【魔術師の魂】を彼女に溶け込ませる。
「イエス、ありがとうございます、マスターカムイ。さあ、[征服]を開始しましょう」
――荒野はどこまでも広がる。エラム周辺は、決して豊かな土地では無い。農業と狩猟をバランスよく行っている。畑だけでは生きていけないのだ。
魔獣は、4足歩行の爬虫類系と哺乳類は特に犬や狼系統が遭遇しやすい。そして、この度相手となるのが、全長2メートルを超える狼だ。
中には、変異した個体として、火を吐くものもいるそうだ。今目の前にいる狼は、30頭ほど。本当に、人間でも勝てるのかよ。群れの真ん中に、一周り大きな個体がいるよ。
「まずは目の前の敵を殲滅するぞ。俺は隠れてるから、お前がな――」
「イエス。放置プレーですね。マスターカムイ。受肉した途端、マスターの攻めが心地よく感じます」
「おま、おいっ!」
悪戯に顔を赤らめている従者に、ある種の恐怖を感じながら、本物の敵を見据える。さあ、始めよう[征服]を――。そして、俺は身を隠した。