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王子転生! ~王子は王子でも琉球第三王子!~  作者: 高見結
~王子は王子でも琉球第三王子~
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第78話 種子島

種子島の構造に重大な誤りがありました!リアリティー(歴史よりコメディによりつつありますが)をもたせる為に修正いたしました!


ご指摘いただいたら五反田猫様!ありがとうございます!

恩納の港から大島巡視の為に告天二号で出発した真三郎一行。

中継地となる天然の良港、運天港があり、琉球の北部を守る要害の地である今帰仁城内の御獄(うたき)にて、真三郎のをなり神(霊的守護)である馬に航海の無事を祈願(うがん)してもらうべく御内を訪れたが次代の今帰仁ノロを継ぐべく今帰仁廻りと呼ばれる御獄廻りの修行中であいにくと不在であった。



「ふぇっふぇっ、何じゃ馬に会ないかとゆーて寂しそうじゃのぅ朝公。馬は今、今帰仁ノロ就任の儀に備えるべく霊威(セジ)を高める大切な儀式の最中ぢゃよ、まぁ替わりにワシの背中でもやさしく揉んでおけっ!ゴホッ、ゴホッ!」

約一年振りの再会に真三郎の背が伸びたのか、ババ様がますます小さく萎びれているように見える。

「バ、バババァ様!大丈夫ですか?」

咳き込むババ様の背中を優しく擦りだす真三郎

「ふー、そ、そこじゃ。ふぅ、ん、もそっと、もそっと、前、胸が少し苦し、そう、あっん!」


「ちっ!このクソババァ!何さらしとんねん!」

前の方でぐにゅっとした何かに指先が触れた真三郎が慌て飛び退く

「フラーやぁあ!ちょっと霊威(セジ)を吸わせて頂いて代わりにちょっとした加護を与えとんぢゃよ、まぁ大人しゅうもそっと続けよ!」

付きだす唇を頭ごと押し退けて背中を摩る真三郎。いつしかババ様からふざけた様子がかき消え、真剣な表情に変わる。

「ふむっ、ふむっ。ふぅぅぅ………………朝公や、恐らく来年、いや再来年じゃな。」


「ん?何ですか?来年?いよいよチーレムっすか?」


「ん?ちれむ?なんの事じゃ?まぁ何にせよ、此度の大島行きはなんくるないさぁと卦が出でおるさぁ。ふりっ、祈願(うがん)代じゃ。ついでに祖霊にうーとーとーしておいたからたーんと布施を弾みな。ふりっ!ふりっ!」

お布施を弾めと催促の手を差し出すオババ様

(よし、よし、首里は冊封使様一行を迎えての国家祭事と儀礼続きで繁忙の様子、さらに冊封の今、国家として不吉な出来事は王の体面に関わる、今は望むまいて………)


「はい、はいっ。解りましたよ。」

真三郎達だけでなく随行する今帰仁、名護の兵の目もあるもともと保護者替わりとで、なんだかんだと目に掛けてくれる今帰仁御内、持参した薬種問屋炉卯兎(ろうと)の商品でもある明渡りの高価な滋養薬に銀子や酒、米、布等を盛大に奉納する。



「これは殿下。先の出征時は目にも鮮やかな蒼備えでしたが、此度はまたなんとも…………」

今帰仁の港、運天港での補給を得て出陣を見送る今帰仁監守朝敦が真三郎の率いる調査師団の異様な風体に言葉を喪う。

「朝敦殿、此度は軍勢を見せつけるのではなく、倭冦の残党が琉球の辺境に潜んでいないか、王府の監視が及びにくい場所を某が首里天加那志(すいてんがなし)の耳目として確認するのがお役目です。動きやすい足廻りと茶色の服は山と入江が深く入り込む大島に向いてるだろうと……」

かなり蒸れるがハブ避けの長革靴(ブーツ)靴底にはゴムを使用した試作品、本来は木々の緑に溶け込む緑鮮やかなマントも考えては見たが暑い琉球では邪魔になるとなくなく断念した真三郎である。

「そ、そうですか。しかしまぁ、また薩摩の商船が冊封使様の歓待で忙しい首里に島津からの使節を同行し書状を持ち込んだと早馬が……大島の連中がまた島津に唆されぬかと……」


「しかし、先王の親征で………」


「一度火の付いたオキは消えてもまた燃えやすいのです。道中、注意を怠らずに………」

はるか北、今帰仁からは当然見えぬ大島、いや薩摩を望む真三郎達である。





リーフに囲まれただけの与論、沖永良部、徳之島、喜界の周辺四島と異なり入り込んだリアス式海岸のような地形からなる大島は耕地にこそ恵まれてはいなかったが、かつては巨大な唐船すら停泊でき、また大風を避ける避難港として明、琉球から大和を結ぶ航路の中継地点として栄えていた。


徳之島の平土野港から加計呂麻島と大島の間、瀬戸内と呼ばれる津々浦々を廻り怪しい唐船や和船といった南海交易に使う船が停泊し、倭冦の根城と化してないか数日かけて巡視した告天二号は大島調査の最終目的地、北端にある笠利の港にその錨を降ろしていた。


「これで全部だな三良?」


「ひーふーみーやーと、はい荷は全て!」


「王子殿下、お初に御目にかかります。大島奉行を拝命しております、蘇にございます。して、この荷の山は一体?」

港てまは大島奉行蘇憲儀(そけんぎ)が首里大屋子として笠利を治める役人に猿波(さるふぁ)屋の手代を引き連れ上陸する調査団を浜で跪拜して迎える。


「御苦労、大島奉行 蘇殿。名瀬の地に奉行所を構えたと名護親方より聞いたが」


「はい、より耕地に恵まれ大島各地を治めるに北に片寄りすぎませんので」


「そうか、王府より直接の交易を久米唐営のみに制限されておるからなぁ、王府より早船の使いにあったと思うが、不満に思う残党どもが倭冦と結んでおらんか?」


「大島に倭冦は………もともと明との交易の利を得てたは大親(豪族)の一部のみ、民は殿下の広めた唐芋で餓えに喘ぐことものうなり、黒砂糖にハブの買い付けでわずかながら余裕も生まれております。特権を握っていました大親達も力を失い、子弟の一部は首里に集められましたので民も首里天加那志(すいてんがなし)に忠節を誓っております。」


「そうか!」


「はい、この猿波屋が大島に店を構えて七島から入る硫黄の精製や黒砂糖等の特産の買い付けに泊や運天からの穀物や農具といった品の仕入れ、首里への貢納船まで担うので、領民も某も治安や開墾に精をだせまする。」


「そ、そうか、ははははっ」

(うーん、ちょっとやりすぎ感はあるけど大島地区代理店の猿波屋は順調すぎるほど順調だな)


「そうそう、これは金武でも広めているのだが、米や麦の脱穀に使う千歯こきの普及で女子供、又ハブの毒で不倶になった者達が糧を得る手段として、織機と糸車を持ち込んできた。」

真三郎の合図で真牛と三良が箱から一台の糸車を取り出してみせる。

「それからこれは蚕の繭だな、真綿にしか使えない三級品だが明から大量に仕入れてきたやつだ。」


「三級……」


「ふりっ、良く見てみろ、繭玉に穴が空いてるだろ?こっちのは箱には大玉に見えて二匹の蚕が繭を作った奴だ、穴が空いてるのはいい繭だが、卵を生ませるために選別し孵化させたやつでな、糸がぷちぷち切れてる為に細くて艶やかな良質な生糸にならんらしい。」


「ほぅー、成る程、切れた糸を繋ぐと結び目ができますしなぁ」


「こっちも糸が絡まりしなやかな生糸はできないらしい。」

狭いスペースで繭を作らせると二匹の蚕のルームシェア状になるのだ。

「しかし、何故そのようなものを?」


「この真綿から糸車で太くはなるが丈夫な糸を紡いで布を織るんだ。猿波屋殿、以前に送ったものでの試作は出来ておるだろ?」

猿波屋が一反の布と仕立てた上衣を真三郎に差し出す。

「はい、先年に頂いた真綿から織った布にございます。車輪梅(シャリンバイ)の樹皮を煎じた汁にて鮮やかな桃色に染めております。」


「も、桃色か………うっ」

腹廻りは空いていても実は風を通さずかなり暑かった革の団服を脱いで早速着替える真三郎


「大変よくお似合いにございます。」


「そ、そうか?まぁ最高級の艶やかな織物にはならなくても普段着に使える丈夫な服を安く広めれようし、女子供のいい手仕事になるだろう?上質な絹は値上がりしてる故、対価には十分な穀物をだすし、やがて宮古や八重山の上布と同じく首里への貢納になろうぞ。」


「有り難きことにございます。大島の民に成り代わり御礼申し上げます。」



「礼は首里天加那志に、金武で栽培を始めた南瓜等に農具もすこしばかり持参したので皆でわけてくれ」



翌日


笠利の港の沖合に冊封に合わせて琉球で明の品を仕入れに来ていた大和の船が4艘ばかりその姿を見せていた。


「これはこれは金武王子殿下……今は殿下でよろしゅうございますか?」

辺りを見渡し小声で公務中であることを確認する堺の商人達。

「ああ、かまわん、倭冦の襲来かと驚いたがな。して、久米での仕入れは済んだのか?えーと確か今井屋の……」


「はい、堺の納屋は今井の番頭、高田月衛門にございます。シャムの皮革に鉛に錫、琉球では明の陶磁器に薬種に黒砂糖とそれはもう、持ち込んだ銀子を全て使い果たしました。大明の帝よりの下賜品には王府の証書も付きまして唐物は好事家が高値で買い求めましょう。もっとも新たな札入式の競りで予定より高くつきましたし、親見世(おやみせ)(琉球国営デパート)で展示された逸品の半分は来年の売り払いとか……」


「ほー」

あらぬ方向に目をそらす真三郎、一世一代の冊封の下賜品、通年の進貢船の品とは格が違う。大和各地から集まる船を来年も呼び寄せる為と、飢餓感を出して値上がりを待つ作戦であった。

「王府の役人様もまったく商売上手に、来年も参りませんと」


「ほー」


「そう、そう、実は薩摩の島津家が島津の朱印状のない船を制限しようとしてるとか?殿下も聞き及んでおりますか?」

急に話題の転換に今帰仁監守より耳に挟み内密の話と聞いたが、流石は堺でも一、二を争う大店の番頭、真三郎の顔色の変化を見逃さない。


「やはり!念の為に博多、瀬戸内経由でない堺方面の船で船団を組み土佐沖廻りで一気に畿内に向かおうと此方で風待ちをと考えております。明日には油屋はん、茜屋はん、紅屋はんの船と揃う予定です。そうだ、殿下!実は久米では販売していない品ですが、よろしければ、御覧になられます?」


ズドーン!


二期の植え付けに備えて既に水が張られた水田、長さは約一町(100メートル程)、田の反対に置かれた的が轟音と共に微塵に割れる。


「こ、これが最新の種子島………」

(うん、まさしく火縄銃、思ったより破壊力があるんだなぁ)

「はい、堺の工房で作られました職人が腕によりをかけた名品。狙いを付けられぬ石火矢とは形から違いまする。また、刀にも使われまする大和の鋼はもちろん、固い栗の木を使用した銃床の……此方をご覧ください。このように蒔絵に象嵌まで施しております。こちらの止め金や金具にもこの様な見事な彫り物が、追加でご注文戴けましたらもちろん、左御紋のご家紋を無料でお付けいたします!これはまさしく琉球の王子殿下に相応しい逸品にございますよ。」


「凄い品だなぁ。でもお高いんでしょ?」


「通常ですと納屋希望小売価格、銀子十貫文(1200万円)のところ、尚永様の冊封記念としまして、それがなんとたったの銀子五貫文!!」


「「「えー!!半額ぅ!」」」


「更に更に、こちらの火薬容れに、付き棒、収納(ケース)、三十発分の鉛弾に百発分の火薬の五点、今なら火縄も十尺に、鉛玉の鋳型、我が堺の納屋、今井の五年間品質保証も付いております!」


「か、買ったぁ!」


「ま、真さ、殿下!!」


「お買い上げありがとうございます!何丁程必要で?」


「あ、いや、注文でなくて、今欲しい。装飾の蒔絵なんかはいらんから量産品を10丁程なら船に在庫はないか?手元に銀子がないから替わりに大島の黒砂糖に反鼻(ハブの干物)、ウコンでどうだ?我らも首里まで持ち帰る手間が省ける。」


「んー、よござんす。船団を組みますので10丁程度ならすぐにご用意できます。合わせて銀子10貫文分で、こちらの逸品の種子島も殿下用にお付けいたします。次回も種子島は是非、納屋にご注文ください。早船の使いによりますと大和で最強と謳われた甲斐武田の騎馬軍団、それを長篠の野にて壊滅させた尾張織田様の鉄砲部隊、その大半はうちがご用意したものにございまする。今に鉄砲の時代が参ますぞ」

「ささっ、折角ですから殿下も試撃ちを!」

(長篠の戦い!……って信玄は死んでるんだっけ、もう時代はそこまで!!ヤバイよヤバイよ!)


「殿下?」

大和の情勢の話に大河や野望的な風景が脳裏に浮かびぼーっと種子島を構え、試し撃ちの的にふらふら狙いを定める真三郎に注意が入る。

「あ、ああ悪い、火蓋を切ってと、こうか?」


ズドーン!!


「ヒッ、アッ!アチュッチャッ!」

点火用に火皿にのせた火薬が多かったのか、立ち込める白煙の中、飛び散った火花の直撃を受けて頬を押さえる真三郎が種子島を離し、まっすぐに田圃に向かってゴロゴロと転がる。


「まっ真三郎様!」


ボチャッ………………


「…………あ、あーあぁ」


「ぷっ、で、殿下!お怪我は?」


「ぶっ!!ぶっ!!だ、大丈夫じゃ、火花がちょっと顔に、俺の不注意だ。種子島は大丈夫か?」


「問題ありませぬ、威力を上げようと殿下が多目に玉薬を詰めたのが原因のようで…………」

落ちていた種子島を拾った高田番頭が動作確認を行い報告する。

「す、すまん。三良!悪いが高田殿にきちんとした使い方を習っておいてくれ、折角の真綿の紬が田んぼの泥でまっ黒く汚れてしまった。ちょっと着替えてくるわ。」


洗い直した真三郎の車輪梅で染めた上衣の色は元の鮮やかな桃色には戻らず、奄美の独特な赤土の鉄分に反応して真っ黒に染まったことが渋い大島紬の特徴、基本色として広まり、泥染と呼ばれるようになるのは後の話である。


本当は1700年頃に大島紬とありましたので100年程早くなりました。


ブラブラ旅する番組の大島回からのネタ

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